北海道の商業施設に関する記事は、記事数こそ少ないものの非常によく見られており、「試される大地」に対する人々の関心の高さを感じさせてくれる。取材班は北海道の在住ではないためなかなか訪問することが難しいのだが、これからもどうぞご期待頂きたい。
さて、今回訪問してきたのはJR琴似駅前に位置する「5588KOTONI」なる商業施設。札幌から快速電車で1駅というその恵まれた立地にあるにも関わらず、その状況にはなかなか厳しいものがあるのだという。今回は、そんな琴似駅前に位置する商業施設「5588KOTONI」について、その様子を見ていくこととする。
運営会社が潰れました「5588KOTONI」
5588KOTONIは、JR琴似駅前に位置する商業施設。建物そのものには「琴似駅前ビル」という名称がついており、元々あった建物を居抜きする形で2004(平成16)年に開業した。
現在5588KOTONIが位置する建物は、元々1976(昭和51)年に「イトーヨーカドー琴似店」としてオープンしたもので、当初は札幌市で初めてのイトーヨーカドーとしてそれなりの知名度を誇っていた。しかしその後、この建物のすぐ隣に同じ母体が運営する「エスパ琴似店」が開業。同じ場所に2つもイトーヨーカドーがあるのはマズいということで、こちらの建物は「イトーヨーカドー専門店館」へと生まれ変わった。その後、エスパがイトーヨーカドーに変更することに伴い、建物が閉館し現在の「5588KOTONI」となり今に至っている。
イトーヨーカドーの建物がそのまま雑居ビルになったという少々複雑な経緯を持つこの5588KOTONI。2011年には運営会社である(株)5588琴似が破産手続きの開始決定を受けるという実質的な破綻状態にも陥っており、その懐事情の厳しさを物語っている。このあたりは小樽市の「ウイングベイ小樽」に近いものが見られる。
なお、現在は「三和開発サービス」なる企業が運営を行っている模様。道内のインフラ関係(道路関係が多い)の事業を担う会社なのだそうで、規模は小さいものの現在に至るまで運営を行っている。ここからは、そんな複雑な経緯をたどってきた5588KOTONIについて、その現状を見ていこう。
空き店舗の目立ちすぎる店内・・・
さっそく中に入っていこう。なかなかド派手な看板の中を入っていく。1976年開業ということではあるが、なかなか綺麗に保たれている印象だ。
2022年訪問時のフロアガイドは上のような状況。あまり店舗が入っていないように見えるが、どうやらこのフロアガイド、相当長い間更新されていないらしく、実際にはフロアガイドに記載されているよりも多くのテナントが入居していた。やる気出してくれー!
なお各フロア内に入っているテナントについては、実際に中を見て回るか、避難経路図を見ることでより正確な配置図が分かるようになっている。なんじゃこりゃ・・・良いんだか悪いんだか。
中のテナントを見ていく。一応テナントとしては「ダイソー」「サツドラ(サッポロドラッグストアー)」あたりが核店舗となっているが、どこにでもあるタイプの施設でいまいちパッとしない。建物としては何とか成立してはいるものの、相当危ない橋を渡りながら運営を続けているのが実情のようだ。
建物内には広大な空き床も残り、その厳しい状況をひしひしと伝えてくれる。実際、5階建てとなっている館内のうち、階段は4~5階が閉鎖、エスカレーターも5階には進入できないようになっており、なんだか残念な姿を映し出してしまっている。
ちなみにこの施設のエスカレーターのアナウンス、なぜかイオンと同じ物が使われていたのですが・・・ 元イトーヨーカドーですよね?(苦笑)