京都府京都市といえば、錦市場や新京極といった多数の商店街を抱えることで有名だ。現在は新型コロナウイルスの影響で外国人特需がなくなり、補助金も出ないため苦境に喘いでいるお店が多いのが現状だが、それでも多くの店が何とか踏みとどまりながら営業を続けている。
(錦市場・NAVITIME Travelより抜粋)
しかし、当たり前だが京都にあるからといって全ての商店街が観光客であふれる訳もなく、コロナ前から苦しい状況にある商店街だって多数ある。これが現実だ。今回は、そんな商店街のうちのひとつ、「新大宮商店街」を取り上げようと思う。
京都最長の商店街だそうです
突然だが、「京都で一番長い商店街はどこでしょう?」と聞かれて、どこを想像するだろうか。新京極?錦?三条会商店街?残念ながら、どれでもない。確かに新京極商店街や錦市場は有名だし、三条会商店街は「アーケードのある商店街」の中では京都最長ではある(全長800m)が、アーケードのない商店街も含めると最長ではない。では、京都市内にある全ての商店街の中で最も長い商店街は一体どこなのだろうか。ここまで読めばもうお分かりだろう。京都市内にある全ての商店街の中で最も長い商店街は、何を隠そう、ここ、新大宮商店街なのだ。
新大宮商店街は、京都市北区・北山通りから北大路通りにかけて続く、全長約1kmの商店街だ。この1kmという距離は非常に長く、渋谷センター街(全長約350m)のおおよそ3倍、心斎橋筋商店街(全長約580m)のおおよそ倍というから驚きだ。新大宮商店街の学生編纂記事、「Re:新大宮」によると、この1kmの商店街の周りには、約180もの店舗が軒を連ねているそうだ。これは、日本各地に勢ぞろいするイ〇ンの店舗数と同程度の数字であり、この商店街の規模の大きさが分かるだろう。それにしても、このRe:新大宮、2020年の10月31日で更新が止まっているのだが、果たして大丈夫なのだろうか・・・。
話を戻ろう。ここまで新大宮商店街の概要について述べてきた。これだけを聞くと、
新大宮商店街、やるやんけ!!
と思うかもしれない。しかし、その商店街がこんな状態だったらどう思うだろうか。
・・・次の項目では、新大宮商店街の現状・実態について述べていこうと思う。
旗ばかりが目立つさびしい実状
さて、先ほども予告した通り、ここからは「新大宮商店街の実態」として、現在新大宮商店街が置かれている状況について、写真を交えつつ説明していく。
新大宮商店街は、北山通りと北大路通りとを結ぶ商店街だ。とはいえ、北大路通りから北山通りにかけて緩やかな上り坂(とはいえそれを感じない程度だが)が続いているため、実際に訪れるのであれば北側の北山通りからまわることをおすすめする。なお、阪急京都線・大宮駅や嵐電四条大宮駅からは距離があるため要注意。訪問にはバスを使うと良いだろう。
話を戻そう。商店街に来たは良いのだが、いかんせん道路に人がいなさすぎる。これは一体どういうことなのだろうか。
実際に回ってみると、「商店街」と名乗ってはいるものの、実際にはただの住宅となってしまっている家や、廃業した店舗が多くあることに気づいた。これはいわゆるシャッター商店街ではない。「捨てられた商店街」とでも言うべきだろうか。商店街と名売ってはいるものの、その機能を果たせていない街、それが新大宮の実状のようだ。
とはいえ、どのお店も営業していないなどということは決してない。こんな日もちゃんと営業している個人店だってちゃんとある。こちらの「はやし万」さんは木材に荷物運送・引越、電気・ガスの申し込みだって受け付けている。地域住民の貴重なライフラインだ。
一方、こちらの吉川商店さんはおみそにひのな漬、しば漬、すぐき、千枚漬、京つけもの等、ジジババの生活に欠かせない品物を販売。店先の様々な看板が実に魅力的だ。しかし、ここに英語や中国語の看板がないあたり、観光客はコロナ前から来ていないのだろう。観光客の恩恵を受けているのは、所詮一部に過ぎないのだ、そんな状況をまざまざと見せつけられる一コマである。
最近では、新大宮商店街にも若い風が次々と吹き込んでいるようで、こんなガラス張りのオシャレなお店が少しずつではあるが立ち並ぶようになってきている。こちらは喫茶店かと思いきや、なんと「コミュニティカフェ」でした。どうやら、カフェ兼コワーキングスペース兼地域住民の憩いの場として営業しているらしい。なお、一見やっていそうに見えるコチラのお店だが、10:00~16:00というかなり短い営業時間になっているようで、訪問時は既に閉店していた。来店の際はご注意を。
とはいうものの、若い風が吹き込んでいるとはいえ、全てのお店が成功しているかと言われると決してそんなこともないようだ。明らかにキレイな外観をしているのに閉業しているお店もあったりする。店舗経営はそう甘くないのだ。
それにしてもこの商店街、驚くほど旗が多いな。歩行者や車の少なさもあいまって、余計に目立ってしまう。
そして、人が去り、ジジババだらけになった商店街には選挙ポスターが貼られ、票の取り合いになると。実に典型的な風景だ。若者の皆さん、投票には毎回しっかり行きましょう。そうしないとこうなるのがオチですからね。