某武漢肺炎がお流行りの中だが、みなさんはいかがお過ごしだろうか。緊急事態宣言がどうやら、自粛がどうやら、マスクがどうやらといろいろと面倒な世の中になってしまったが、そんな中で最も有効な感染対策は、やはり「家に引きこもって過ごす」ことに尽きるだろう。少し前であれば、こういう状況下だと「ツタヤでビデオやマンガを借りてひたすら時間をつぶす」というのが典型的だったのかもしれないが、現在ではU-NEXTやらAbemaプライムやら、実に多くの動画配信サービスが登場してきており、TSUTAYAからするとかなり苦しい状況が続いている。もっとも、当のTSUTAYA自身も「TSUTAYA TV」なる動画配信サービスをやっているようではありますがね。
さてさて、今回はそんなレンタルビデオ業界で最大手になるまでになった「TSUTAYA」創業の地、枚方市駅にやってきた。大阪環状線と接続する、京阪電車・京橋駅からわずか14分、特急電車で1駅で行けることもあり、平日の日中にも関わらず多くの人でにぎわっている。
40万人もの人口を誇る枚方市は、距離的に大阪と京都のほぼ中間地点にある(もっとも、所要時間という面では大きな差があるが)こともあり、駅前にはバスターミナルも整備されている他、多数の飲食店が入居する雑居ビルや本屋、スーパーにドラッグストアなどと、生活に必要なものは一通り揃う印象だ。とはいえ、枚方市そのものが広い面積を誇っており、京阪枚方市駅周辺だけでなく、京阪樟葉駅やJR学研都市線沿線にも街が広がっていることもあってか、約10万人もの乗降客を数える駅の割にはやや控えめだと感じる部分もある。そしてこういう街に欠かせないのが、パチンコ屋とカラオケ屋。さすがにこの辺は大阪らしく、ちゃんと駅前にそれぞれ複数軒整備されている(笑)しかし、よそから来る理由まであるかというと微妙なところもあり、わざわざ大阪市内を離れてここまで行こうと思うことも正直少ないし、実際あまり来るきっかけも少ないと言わざるを得ない。
TSUTAYA1号店のビルは今も現存です
そんな枚方市だが、先ほども申し上げた通り、ツタヤ(社名は「カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が37年前に1号店を開業させた場所でもある。そんなTSUTAYA創業の地でもある「蔦屋書店枚方駅前店」が入居していた雑居ビル、「大和ビル」が今も現存しているというから驚きだ。
「枚方駅前」と名前についていることからも分かる通り、枚方市駅直結のひらかたサンプラザ3号館のすぐ隣に位置し、駅から歩いて2~3分と、交通至便な場所にある。とはいえ、特にここがTSUTAYA創業の地だということを表すものはなく、写真から見れば分かる通り、ビルそのものもいつ取り壊されてもおかしくない状況を呈している。入居テナントも「餃子の王将」に居酒屋やバーなどと、いかにも「一昔前のTSUTAYA」らしい仕様だ。
なお、ここが蔦屋書店だったころの写真もネットで検索すれば出てくるが、TSUTAYAそのものがやや怪しい(失礼)見た目をしている上に、アコムなどの消費者金融会社と一緒に入居していたりするあたり、やはり状況はあまり変わっていないようだ。
そんな状況下にあるTSUTAYA創業地だが、そのすぐ隣には、「作りかけの道路がぶつ切れになっている」という、いかにもな光景を見ることができる。ビルの一部分が都市計画道路の対象地域になっているものの、立ち退きが嫌なのかこの部分だけ出っ張ってしまっているようだ。
現在、枚方市は駅周辺一帯を再開発する予定となっており、そこにはこの都市計画道路も含まれている。もはや半分化石となっているこの大和ビルも、そのうち見納めなのだろう。一度見ておきたい!という方は早めの訪問をおすすめする。
枚方のTSUTAYAは「意識高い系」になりました
そんなボロボロの雑居ビルとは打って変わり、現在では枚方発祥のTSUTAYAは「枚方T-SITE」なる全面ガラス張りの意識高い系ビルをブッ建ててしまった。かつてレンタルビデオ屋日本一だったTSUTAYAは、やたら意識高いアイテムや高級家電を並べるよくわからない本屋を展開するようになったが、それがここ枚方にも押し寄せてきた模様だ。
そんな枚方T-SITEだが、やはりというか何というか、どこもかしこもやたらと意識が高く、貧乏人ご用達の業務スーパーやラムーで買い物をする取材班からするととにかくせわしない。そもそも何で食品売り場にパラソル立ててんだよ。ここ屋内だぞ・・・
地下からこんな調子なのだから、上層階なんかもっとすごいに決まっている。7階「りそな銀行 枚方支店」なんかこんな調子である。いったいここは銀行なのか、それとも本屋なのか、全くもって理解できない。
入口からこんな状況なのだから、窓口前がどうなっているのかも容易に想像がつくだろう。取材班からすると、こんなところにいると吐き気を催してしまうのですが、皆さんはどうお考えでしょうか。
そんな銀行の向かい側には、銀行利用者を狙い撃ちするかのように不動産広告がびっしりと並んでいる。意識高い系は金持ってる、ってか。確かにその通りなのだが、ここまで来ると商業主義的側面を感じざるを得ない。
書店でない他の区画までこうなってしまっているのだから、TSUTAYA本命である書店がどうなっているかはもう言うまでもないだろう。かつてはレンタルCDの宣伝が嫌というほど流れ、18禁エリアの札が一部にかかっているようなTSUTAYAも、ここ「蔦屋書店枚方店」にはもちろん存在しない。書店内には静かな時間が流れ、落ち着いた雰囲気が広がっている。
そんな店内には、本のことなんか一切考えていない、ただのインスタ映えスポットと思える「本のカベ」のようなものが設置されている。実際、ここで写真を撮る人も多くいたのだが、そもそも買ってもいない本の写真を撮るのは「デジタル万引き」にあたるのでは? さすがに中を撮らなければ大丈夫なのだろうが、こんなところで写真を撮るようなお花畑頭だもの、何をするかわからない。その点の注意喚起はしておくべきだろう、そう感じた一面だった。ま、もしこれがデジタル万引きにあたるなら取材班も万引きしていることになってしまうんですがね(笑)
差のありすぎる大型駅前ビル「ひらかたサンプラザ」
さすが天下のTSUTAYAだ、と感じたところで、他の街並みはどれほど進化しているのだろうか・・・と思いきや、駅前直結の他の施設はといえば、いったいいつのものなのかとツッコミたくなるほどのレトロな外観を晒している。新旧対比という点では面白い現象なのだが、どうしてこんなレトロな建物が・・・と言わざるを得ない。
そして、昭和らしいいかにもな建物「ひらかたサンプラザ」は駅を挟むようにして設置されており、1号館から3号館まで連なっているようだ。なお、現存するのは1号館と3号館だけとなっており、2号館は無くなっているが、2号館は現在の枚方T-SITEの場所に存在した旧近鉄百貨店につけられていたそうだ。
そんなひらかたサンプラザの内部だが、見た目からして・・・であることからもお分かりの通り、安定のレトロっぷり。タバコ臭い純喫茶やら大阪らしい粉もの屋なんかが入居しており、やはりというか何というか、「いつもの大阪」としか言えない光景が広がっていた。
そして当たり前であるかのようにパチンコ屋まで入居する始末。やっぱり腐っても大阪である。当サイトをご愛読の皆様ならご存じかと思うが、どこまで頑張っても大阪は大阪なので、「キレイな街並み」を求めて観光に行くならあまり期待しないのが吉だ。
令和と昭和が混合する街、枚方。再開発とともに、この街はどう変わっていくのか。その将来に期待したい。