阪急神戸三宮駅は、阪急全体でも指折りの乗降客数を誇る駅であるにも関わらず、阪神・淡路大震災によって当時の美しいビルが崩壊して以降、当初「5年間限定」として建設したはずの仮のビルが20年以上にわたって営業を続け、「阪急の没落」「神戸市の没落」などと散々ネット上でネタにされ続けてきた。
しかし、2021年4月26日、この歴史に終止符が打たれる。なぜなら、この神戸阪急ビル東館があった場所に、地上29階・地下3階建てという超高層ビルが建設され、グランドオープンを迎えることになるからだ。今回は、この新しいビル「神戸三宮阪急ビル」について、その概要、中に入る商業施設・通称「エキゾ神戸三宮」、そして4月26日のグランドオープン前にプレオープンが行われ、一部施設が開放されていたため、入ることのできた範囲で中の様子をお届けする。
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神戸三宮阪急ビルの概要
神戸三宮阪急ビルは、地上29階・地下3階で構成される高層ビルで、高さは約120m、延床面積は28,850平方メートル(高架下の店舗を含めると延床面積は34,350平方メートル)となっている。建て替え前と比較すると、延床面積は約5倍、高さに至っては約10倍というものすごい規模となっている。また、商業施設一辺倒だった建て替え前と比べ、建て替え後のビルはホテルやオフィスなど、より多様になっているのが分かる。なお、フロア構成は以下のようになっている。
29階 | 展望フロア・レストラン「カフェ・レストラン神戸望海山」「WHISKY BOTTLE BAR DEN SANNOMIYA」(展望台は現在営業休止中) |
17~28階 | ホテル「レムプラス神戸三宮」 |
4~15階 | オフィス |
地下2階~3階 | 商業施設「EKIZO神戸三宮」 |
地下2階~2階 | 駅コンコース |
地下3階 | 機械室等 |
商業施設「エキゾ神戸三宮」
神戸三宮阪急ビルの地下2階~3階には、「EKIZO神戸三宮(エキゾ神戸三宮)」という商業施設ができている。こちらには、計37の店舗が出店することになっており、神戸初出店となるお店も多くあることから、非常に面白い構成に仕上がっている。ちなみに、「エキゾ」という名前は「エキゾチック」「駅(エキ)」というところから発想を得て名付けたとのこと。エキゾチックなんて言葉、今の若い人は使うんですかね・・・(苦笑)
なお、計37の店舗が出店と書いてあるが、その大半は阪急神戸三宮駅の西口と東口とを結ぶ、駅北側の通り沿いもしくは阪急とJRとの高架下にある狭い通り沿いに出店している。駅の改札やホームからは非常に分かりにくいところにあるのでそこは要注意だ。
ホテル「remm+(レムプラス)神戸三宮」
神戸三宮阪急ビルの高層階、17階から28階には阪急阪神ホテルズが展開する宿泊主体型ホテル「レム」の新ブランドである「remm+(レムプラス)」がオープンする。こちらも兵庫県初出店で、関西圏でも「レム新大阪」に次ぐ2つ目の出店となる。
「レム(remm)」は「眠りをデザインするホテル」という言葉をコンセプトに、ベッドやシャワー、アメニティなど、「快眠」にこだわった設備や備品を備えるのが特徴で、マッサージチェアを全ての部屋に備える一方でバスタブを設けず、代わりにレインシャワーを設置しているというこだわりぶりだ。なお、客室は全部で209あり、ダブルルームが165室、ツインルームが41室、バリアフリー対応のユニバーサルルームが3室となっている。こちらはグランドオープンと同じ2021年4月26日(月)の開業となっている。
<宿泊記>
神戸三宮阪急ビル その内部の様子とは
さて、ここまで神戸三宮阪急ビルがどのようなものであり、どんなテナントがあるのかについて説明した。ここからは、そんな神戸三宮阪急ビルがどのような状況になっているのかについて、写真とともにご説明しよう。なお、29階の「スカイビュー」に関しては現在閉鎖中のため、入場できなかった。予めご了承願いたい。
今回やってきたのは、阪急神戸三宮駅東口改札を降りたところである。1階コンコースの店舗に関しては阪急の西口と東口との通路間にあるが、それ以外の施設は全て東口に集中しており、高架下に関しても高架を隔てて南北に店舗が並んでいることを考えると、駅を東口から出るのが正しいといえるだろう。
そんな阪急ビルの地下1階、地下2階は全て食料品売り場となっており、地下1階が惣菜を中心に世界の様々な食品について取り扱う「Kitchen’s Market」、地下2階がスーパー「阪急オアシス」となっている。看板の順番と階層が異なっているのだが、こんなんで大丈夫なのか、と少し心配になってしまう。知らんけど。
なお、地下階の構成は以下のようになっている。随分と複雑な形をしているが、これは地下鉄三宮駅とこのビルとを地下通路で結ぶために整備した結果としてこうなったらしい。
地下1階に関しては「キッチン&マーケット」ということで、先ほども書いた通り、惣菜店やレストランといった飲食店と、日本や世界の様々な商品を並ぶスーパーのような店が混在した、ある種独特の構成になっている。なお、スーパー部分に関しては集中レジで、飲食店や惣菜店に関しては基本的に各店舗で精算という形を取っているが、一部惣菜店では集中レジで精算する方式を取っており、これまた非常にややこしい。これについては、店員の方にどこで支払いをするべきか聞いておくことをお勧めする。
そんな地下1階のテナントだが、さすがに阪急が力を入れていることもあり、各界の実力店が軒を連ねている。例としては、上の写真にある神戸南京町の名店(実は横浜中華街にも店を出しているのだが)・YUNYUNさんや神戸牛で有名な吉祥吉さんが挙げられる。館内には地ビールを提供するお店や、それに対応するイートインスペースも完備されており、「惣菜をつまみながら晩酌」なんてことも可能だ。当たり前だが、某ウイルスには注意するように。
この地下1階に関しては、正直「本当に何でもアリ」という印象を受けた。普通のスーパーと比べて面積は半分ほどと、お世辞にも広いとは言えない地下スペースだが、狭い中に何とかしてフルセットで揃えよう、という涙ぐましい努力の痕跡がにじみ出ている。プレオープン時の訪問だからまだ人出は少なかったもの、これグランドオープンになったらどうなっちゃうの?と心配になってしまうが、まあ緊急事態宣言も出るようだし、おそらく杞憂に終わるのだろう。