北海道

道東唯一の百貨店、帯広市「藤丸」の哀愁を帯びすぎている現状を見る。

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「百貨店が厳しい」、そう日本で言われてもう何年経つだろうか。確かに百貨店の売上は年を追うごとに下がり続けており、近年はインバウンドによる「爆買い」なんかもあったものの、新型コロナウイルスの影響によりこれも蒸発し、今では余計に厳しい状況に追い込まれている。

そんな厳しい百貨店事情をモロに受けているのが北海道で、かつて北海道に存在した北海道百貨店協会によると、最盛期には19もの店舗が存在していたそうだが、現在ではそれも6店舗にまで減少、しかもそのうち4店舗が札幌市に所在しているなど、「札幌市一極集中」が叫ばれる現在の北海道だが、こんなところにもその現状が現れている格好だ。

藤丸 外観

さて、今回やってきたのは現在北海道に残る百貨店のうち、道東地区にある唯一の百貨店、「藤丸」である。かつては旭川や釧路、北見といった街にも百貨店が存在していたのだが、現在ではそれらの百貨店は皆閉店し、ついに道東唯一の百貨店となってしまった。今回は、そんな道東地区唯一となってしまった百貨店「藤丸」について、その現状を写真とともにお届けしようと思う。

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道東唯一の百貨店・藤丸

藤丸 正面入口

北海道は帯広市にやってきましたよ。北海道の中心・札幌からJRの特急利用で約2時間半、高速バスでは4時間近くかかる。「北海道はでっかいどう」などという言葉が一時期流行したが、その状態を身を持って知る瞬間だ。札幌から帯広でこれだから、その先の釧路や根室なんてレベルになったら・・・と考えるだけでも恐ろしい。

藤丸 フロアガイド

早速中に入っていくいよう。藤丸は地下1階から8階までの9フロア構成となっているが、最上階の8階が「帯広市市民活動交流センター」という公共施設となっているため、実質的には8フロア構成となっている。なお、営業時間は朝10時から夜7時までと、比較的短め。しかもレストラン街は朝11時から夜6時までと、夜ご飯のことを完全に考えていない時間設定だ。相当苦しいことがここからもうかがえる。

そんな藤丸だが、閉店した他の百貨店と同様に、近年では慢性的な赤字に苦しんでおり、こちらの記事によると2019年時点で4期連続の赤字決算だという。これに食い止めをかけるため、減資による節税策や百貨店のない釧路市等からの「お買い物バス」の運行、そして帯広市が主体となって行う「街なか再生プロジェクト」の推進に取り組んでいるようだが、そうまでしてもやはり赤字になってしまうあたり、「試される大地」という言葉がどういう意味を表すのかがよく分かる。

藤丸 7階

さて、まずは百貨店としての最上階・7階に来てみた。7階は「催し物と美容室・Cafe・そば処のフロア」となっており、本来のレストラン街はいったいどこへやらといった感じだが、やはり元々はレストラン街のあった場所だ。他の階とは明らかに違う高級感が漂っており、さすが百貨店といった風合いを感じさせる。あ、言っておきますが手前の空き区画は催し物会場ではないので要注意。催事場はこの奥にありましたよ。

藤丸7階 ステージ

そんな藤丸の7階には、小規模ながらステージも整備されていた。地方百貨店は近年激しく衰退しており、最近ではステージ?ああ、屋上にそれの跡地っぽいものがあるよ、みたいなノリになってしまった百貨店も珍しくないのだが、この藤丸に関しては屋内にあるということもあり、腐っていないステージの姿を今も見ることができる。これが使われているかどうかは分からないが、とにかくこれだけ現役の姿を持ち続けているだけでも素晴らしいといって良いだろう。実際今も現役でステージが使われている場所なんて池袋の東武百貨店くらいしか取材班は知らないんですが、他にもあるんでしょうかね。ご存じの方、いらっしゃいましたら当ホームページのお問い合わせページ、もしくは公式Twitterにてお知らせください。

藤丸 エスカレーター

一応下の階も見てはみたのだが、平日に訪れたということもあってか、どの階もお客さんより店員の方が多いという有様。特に見るものもなかったのでここはスルーとさせていただく。気になった方はぜひ一度見てみると良いかもしれないが、あくまで地元向けの生活必需品が並んでいるといった具合。観光目的で来た人に対応するような面白い商品はないので要注意だ。

デパ地下にも漂う哀愁を帯びた風景。

藤丸 地下階入口

さて、百貨店恒例の「デパ地下」へと入っていこう。かつての百貨店は衣料品が売上面で最も大きな割合を占めていたが、長引く不況の影響からか、今ではそのトップは食品へと交代してしまった。藤丸のデパ地下は「藤丸 マルシェ」を略して「Fまるしぇ」という愛称がついている。なお、食品売り場も他の階と同じく午後7時までと、スーパーなんかと比べても比較的営業時間が短いので要注意だ。まあここに関してはどの百貨店もそうだし仕方ないだろう。

藤丸 デパ地下

そんな藤丸のデパ地下だが、帯広市にあるという地理的メリットを生かしてか、「十勝ワインミュージアム」と称したワインショップや、「とかちまるしぇ」という名前の十勝食品専門店などが軒を連ねていた。何にでも「十勝」ってつくと美味しそうに見えるんですが、さすがにそう感じるのは取材班だけでしょうか。ちなみに上の写真に載っているワインだが、こちらは藤丸のある帯広市の隣、池田町に位置する「池田町ブドウ・ブドウ酒研究所」という場所で主に作られている。HTBの番組「水曜どうでしょう」でも登場した十勝地方の代表的な施設で、非常に美味しいワインを安く買えるため、ぜひ一度訪問してみることをおすすめする。

藤丸 デパ地下

なかなか見ていて面白い藤丸のデパ地下だが、なんだかどこもガラーンしている印象が正直拭えない。百貨店自体の魅力は相当あると思うのだが、やはり都市規模的に厳しいというのが正直なところなのだろうか。40万人以上の人が暮らす大阪・枚方の近鉄百貨店も閉店してTSUTAYA運営の施設に変わっているくらいだし、人口10万人台の帯広市じゃ正直厳しいんだろうな。釧路まで120kmあるしね・・・。

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大阪・枚方に残るTSUTAYA1号店の跡と新しく建てられた枚方T-SITEを比較する。
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藤丸 デパ地下

それにしても、いくらなんでも寂しすぎませんかねぇ・・・。当方様々な百貨店を見てきましたが、ここまで人のいない百貨店は初めて見ましたよ。末期の沼津西武(2013年閉店)もこんな感じだったらしいが、そこは外商が強かったから存続できたとか。農業って案外儲かるらしいし、ここもそれで持っているのかもしれない。

帯広市 アーケード

そういえば、駅横のアーケードもなんだか流行ってない雰囲気を演出していましたねぇ・・・。地方の苦しい現状があることはよくわかっていますが、「道東唯一の百貨店」として末永く頑張っていただきたい、そう感じながらこの街を去る取材班でした。

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