神戸ハーバーランドumieを中心に、多くの人でにぎわう街、神戸駅周辺。しかしその周辺の実情はどうかといえば、いろいろといわくつきの物件となってしまった「神戸ハーバーセンター」や箱がデカすぎてテナントの埋まらない「プロメナ神戸」など、なんだか微妙な物件も多く残っており、他の再開発地区と比べても中心部にある割になんだかこれで大丈夫なのか?と感じてしまう部分が多く残るのが現状だ。
そんな神戸ハーバーランドの最寄り駅の一つ、神戸高速鉄道「高速神戸」駅、およびその隣に位置する駅「新開地」駅とを結ぶ駅には地下街が整備されており、地下街とは思えない非常にレトロな光景を呈しているのだという。しかも、その光景が2022年のリニューアルを機に消える可能性があるのだというのだ。今回は、そんな高速神戸駅と新開地駅とを結ぶ地下街、「メトロこうべ」について、その様子をお送りするとしよう。
メトロこうべの歴史
メトロこうべは、神戸高速線の高速神戸駅と新開地駅の間とを結ぶ地下街である。駅と駅との間を結ぶこともあってか、全長は500mと神戸市の地下街では最大規模を誇る地下街となっている。
メトロこうべの歴史は古く、その開業は昭和43(1968)年にまでさかのぼる。神戸最大の地下街、さんちかの開業が1965年というから、その歴史の長さが分かるだろう。
本来神戸の都心から少し離れた場所になるはずのこの新開地周辺に、こんな大規模な商店街が作られたのにはある理由がある。神戸高速鉄道が計画された当初、JR(当時は国鉄)神戸駅の駅前に阪急・阪神・山陽・神戸電鉄4社の統合駅として「高速神戸」駅を作る予定があった。このとき、今の「新開地」駅を作る予定はなかった。
しかし、その計画は破綻し、最終的に新開地駅と高速神戸駅とが双方設けられることになってしまった。このとき、神戸電鉄を使う人々がJRに乗るためだけに新開地から高速神戸まで移動するのはめんどくさい・・・だからといって地上を歩くのも・・・という事態が生じ、その折衷案としてこのメトロこうべを作ることで神戸電鉄沿線の方々も乗り換えをすることなく移動をすることができるようになった、という訳だ。なんだか釈然としないが当時は高度経済成長期。その需要も大きかったのでしょうね。
リニューアル前の「メトロこうべ」の様子
前置きが長くなってしまったが、ここからはリニューアル直前のメトロこうべの様子についてお送りするとしよう。メトロこうべは高速神戸駅の西口と東口とを結ぶ「神戸タウン」、新開地駅の西口と東口とを結ぶ「新開地タウン」、そしてその中間にある「センター(星の広場)」の3種類によって構成されている。
さっそく神戸タウンから回っていくとしよう。昭和らしいレトロ感が否めないこのメトロこうべだが、一応2010年代に軽めではあるがリニューアルが施されたこともあり、この手の地下街や商店街にありがちな汚さは全く見られない。ちゃんと管理されている証左だろう。
しかしそのお店の中身はというと、なかなかピンキリになっている部分があるようで、ファミリーマートやダイコクドラッグのような大手チェーン店もあれば、明らかにやる気のない個人経営のチケット店やCD・DVD店も入居しており、なかなかカオスな状況を呈している。本来の商店街らしくて良い雰囲気ではあるんですけどね。神戸市内のにぎわう商店街に似たものを感じる。
このカオスな状況を呈しているメトロこうべには、「なんかいいな」との掲示が・・・。すいません、運営者ならその魅力くらい分かってください(´・ω・`)
神戸タウンを抜け、センター(星の広場)へと歩みを進める。ここまで来るとハーバーランドのオシャレな風景は皆無となり、神戸というイメージからはほど遠い下町らしい風景が広がるようになってくる。
このエリアは2010年代に入ってから大規模なリニューアルが行われ、「昔なつかしわくわくさんぽ道」なる展示が新たに追加されてはいるようだ。しかし、それ以外は一切更新がなされていないようで、令和の世となった今も薄暗い景色が広がっている。正直ちょっと怖いです(笑)
メトロこうべの神戸タウンと新開地タウンの間には「メトロ卓球場」なる卓球場も設けられ、地域の住民の憩いの場も形成されている。しかもそのとなりにはちゃっかり卓球ショップつき。おかげさまで地下街にカコンカコン卓球を楽しむ音が響いている。一応ここ地下街なんですが、こんなことして大丈夫なんですかね・・・。
メトロこうべ中間の広場(中間といってもだいぶ新開地寄りにあるのだが)にやってきた。天井むき出しの無機質な空間が広がっているが、これもリニューアルで大きく変わっていくのだろう。それにしてもこの広場、地下街の広場であるにも関わらず、ピアノや鏡などが設置されており、結果演奏者やダンサーたちの溜まり場となってしまっている。だからここは地下街だって(以下略)
長い長い地下通路を抜け、新開地タウンへとやってきた。やはりJRと接続しないこともあってか、こちらの人通りは神戸タウンと比べると少なめ。しかし天井ひっくいな・・・。昔の地下街というのがこんなところにも出てきている。
メトロ神戸の新開地側には「新開地グルメタウン」なる愛称がついており、個人経営の飲食店を中心に様々な食品関係のお店が集合している(もちろん、飲食関係以外のお店もある)。
しかしその新開地タウンの実情はというと、人は数えるほど、シャッターが閉まったままの場所も多く残っているなど、非常に残念な光景が多く見られてしまった。やはり神戸の中心は三宮であって、新開地ではないんですね。かつての新開地の栄華がウソのようです。神戸の世代交代を感じずにはいられない取材班でした。