近畿兵庫県川西市

日本初の第二種市街地再開発「アステ川西」の賑わいに可能性を感じた件

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再開発事業において、兵庫県というのは他と比べても際立った成績を残しているようだ。実際、日本で初めての市街地再開発事業は兵庫県宝塚市で行われているし(阪急宝塚南口駅前の「サンビオラ」)、復興再開発ということで良い意味でも悪い意味でも有名になってしまっている「アスタくにづか」も兵庫県神戸市で行われた再開発事業となっている。再開発というと東京ばかりが話題になる印象だが、その原点は兵庫県から始まっているというのが実に興味深い。

アステ川西

さて、今回ご紹介する「アステ川西」も、兵庫県川西市に位置する再開発ビル。なんとこちらの建物、日本初の第二種市街地再開発事業による完成事例として1989(平成元)年に開業したというなかなかの歴史を持つ建物となっている。

日本初の第二種市街地再開発事業「アステ川西」

アステ川西

広すぎて入らない

アステ川西は、兵庫県川西市に位置する再開発ビル。日本初の第二種市街地再開発事業適用事例として、1989(平成元)年4月4日に開業した。JR川西池田駅と阪急川西能勢口駅との間に位置しており、両駅からペデストリアンデッキを経由してアクセスすることができるのが特徴となっている。

アステ川西

1980年頃のアステ川西周辺。赤色に囲まれたエリアが再開発エリア。国土地理院地図を一部改変。

アステ川西

現在のアステ川西周辺

元々は東側に住宅が、西側に阪急電鉄のグラウンドや日通・JA等の倉庫があったアステ川西周辺。再開発事業においては、西側に住宅を整備したのち、商業施設を建設するという手法を取っている。

なおこの結果、再開発区域内では、アステ川西の他に「栄南団地」なる住宅も同時に整備されている。ただしこちらはアステ川西とは完全に別の扱いとなっており、実際アステ川西内にはマンション等の類が整備されていないことから、結果的に住宅と商業系施設を完全に分けているエリアとなっている。再開発事業にしてはなかなか珍しいが、これは「地方都市の駅前なので、中低層の建物にしよう」という当初からの方針と、「高層の建物には住みたくない」という地元の声を反映した結果だという(その他、伊丹空港に近く高層建築物を作ることができなかったという事情もある模様)。

アステ川西

 

アステ川西

館内に設置されている事業概要碑

そんな他の施設とは少々異なる特徴を持つアステ川西だが、その内部はいったいどうなっているのだろうか。ここからは、そんなアステ川西の中を見ていくとしよう。

百貨店と商業施設・公共施設をうまく並立させた店内

アステ川西

アステ川西の概要と再開発の周辺地区について書いたところで、中へと入っていこう。先述した通り、JR川西池田駅と阪急川西能勢口駅との間に位置しており、アクセスはすこぶる良い(といっても、JR側からは少々離れているが)。

アステ川西

2022年訪問当時のフロアガイドは上のような状況(最新の状況は公式サイトからどうぞ)。西側に「川西阪急(百貨店)」、東側に専門店街が入居。東側の上層階には図書館や行政窓口などが位置しており、駅前で一通りの用事を済ますことができるという構造。近年流行の手法ではあるが、1980年代からこのシステムを作っているのだからスゴい。

アステ川西

まずは川西阪急の中へ。とはいえ、こちらは館内撮影禁止なので館外部分を撮影するのみに留めます。阪急側と専門店街側で建物の高さが異なっており、阪急側は4階建て+屋上、専門店側は5階建てとなっている。

アステ川西

アステ川西

なお屋上階についてだが、近年の百貨店にしては珍しく多くの子供たちで賑わいを見せていた。屋上にはしっかりと神社も整備されており、苦境に喘ぐ地方百貨店の中で奮闘する川西阪急の姿を見ることが出来た。2023年度には川西市と阪急阪神百貨店(H2Oリテイリング)が包括連携を結んでおり、今後の発展にも大きな期待ができるだろう。

アステ川西

続いて専門店街へ。こちらもなかなか売上好調のようで、多くの店舗が入居しているが、やはり目を引くのは何と言ってもこの巨大な吹き抜けと真ん中にある緑色の球体だろう。

アステ川西

アステ川西

この巨大な球体は「ハミングツリー」なるもので、からくり時計として毎正時に「妖精と鳥14羽」が、10分毎に「鳥2羽」が踊るのだという。実際に正時になるのを待って見てみましたが・・・意外と変化がない(笑)西神中央の「プレンティ」のからくり時計のほうが良かったなぁ・・・

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アステ川西

アステ川西

専門店街の店舗も回ってみたが、こちらも実に多種多様で、見ているだけで面白い。全国に展開する高級スーパー「成城石井」があったと思ったら、段ボールに値段を書いて販売する八百屋があったり、いかにもな洋服屋の向かいにお菓子の専門店があったりと、イオンあたりではなかなか見られないなかなかにカオスな構成となっている。

アステ川西

アステ川西

そしてちゃっかりパチンコ屋も入居していたり、妙に豪華絢爛なエレベーターホールが整備されていたり。いろんな意味で楽しい。

アステ川西

アステ川西

専門店街側の上層階も一応見ておきましょう。休日の訪問ということもあり、行政窓口等は営業しておらず、図書館も営業していなかったのだが、それでも3階にある庭園に「フラワーテラス」なるものが整備されており、喧騒を忘れさせるのんびりした空間が広がっている。この手の施設にしては緑が溢れており素晴らしいですね。

アステ川西

「駅周辺の都市機能を一新し、商業拠点を作る」。その目的の元に作られたこのアステ川西、現状を見る限りその目的は十分に達成されているといって良いだろう。今後どのように環境が変化していくかは分からないが、今後の進化が楽しみだ。

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