人口維持が目下課題となっている兵庫県加古川市。その中心地であるJR加古川駅周辺もその例外ではなく、駅の南側を中心に数多くの再開発が行われ、これからは駅の北側でも再開発が行われる予定となっている。
そんな再開発の進むJR加古川駅周辺だが、この周辺にも昔ながらの商店街が残っており、その状況を今に伝えているのだという。今回は、そんなJR加古川駅の南側に位置する商店街「寺家町商店街」について、その歴史と現状をお伝えしていくとしよう。
日本毛織の力で発展した「寺家町商店街」
寺家町商店街(じけまちしょうてんがい)は、兵庫県加古川市に位置するアーケード商店街だ。JR加古川駅の南側にある「ベルデモール」なる商店街から分岐する形で東西に約500mにわたって続く、東播磨地区でも最大級の商店街となっている。
寺家町商店街の歴史は古く、その歴史は江戸時代にまでさかのぼる。当時、今の寺家町商店街がある場所があるエリアは旧西国街道の宿場町として非常に栄えており、宿の役割を果たしていた「陣屋」と呼ばれる建物や町屋が並んでいたのだという。寺家町商店街はそれが発展する形で成立しており、その発展には当時栄華を誇っていた日本毛織の存在が大きかったのだという。
そんな日本毛織の工場があった場所には「ニッケパークタウン」という商業施設がつくられ、今では多くの家族やカップルが集まるいかにも郊外らしい光景を見ることができる。「ニッケ」というその施設名から分かる通り、今も日本毛織が経営に参画しているようだ。
ちなみに当の日本毛織の工場は、完全にこの加古川という地から手を引いたわけではないものの、現在はこの寺家町商店街やニッケパークタウンがあるエリアとは逆側に工場を構えており、川を挟んでいることもあって縁遠い存在となってしまっている。まあ日本に残ってくれるだけでも良いのかもしれませんが。
話を戻そう。大型商業施設の進出やニッケ工場の縮小といった外的要因や店主の高齢化といった内的要因もあり、現在では往年の隆盛は残らないこの寺家町商店街。ここからは、この寺家町商店街がいったいどのような状況となっているのか、その現状を写真とともにお伝えする。なお余談だが、寺家町商店街の歴史については公式サイトにも情報があるので、こちらを見るとより歴史が理解しやすくなると思う(ただし、コメント欄に大量のスパムがあるので要注意)。
日本毛織の工場亡き寺家町商店街の現状
寺家町商店街の歴史と背景について書いたところで、ここからは寺家町商店街の現状を見ていくことにしよう。JR加古川駅の南口を降り、ベルデモールの中を歩いたところにこの寺家町商店街は現れる。現在、寺家町商店街の左側(南側)では大規模な工事が行われており、商業ビルがあったところにマンションが完成する予定となっている。かつてここには加古川そごう(現・ヤマトヤシキ加古川店)の別館が位置しており、非常に面白い場所だっただけに残念でならない。
(写真が傾いててスミマセン)
寺家町商店街の中へと入っていこう。JR加古川駅から徒歩3-4分という至近距離にあるこの寺家町商店街だが、お世辞にもお客さんの出は多いとはいえない。マンションが出来たらどう変わるのでしょうか、楽しみでもあり不安でもある。
寺家町商店街のマップを拝見する。お店が少ないということでは決してないものの、500mという規模を考えると多いとは残念ながらいえない。産業会館もなくなったことだし、本当にマンションに期待するしかないですね、はい。
そのじけまちまっぷの横にはさっそくシャッターの降りたお店が・・・。少子化の今だし、この手のお店が厳しいのでしょうね。
そしてそのすぐ近くにはこれまた巨大なシャッターが鎮座。いや、また随分と大きなこと。昔は相当お金持ちだったようですね。
実際に商店街の中を見てみると、確かにポツポツとお店が営業を続けている。だが、それらのお店もあまり集客力は持っていないようで、どこも手持ち無沙汰、といった様相である。「何もしてないわけじゃないんだけど・・・」と話すのはこの商店街のある店主さん。実際にこの寺家町商店街は「蚤の市」というイベントを行っており、それなりの集客に結びついていたようだが、この蚤の市も某ウイルスの影響で目下中止が続いている。
反対側からJR加古川駅方面へ向けて寺家町商店街の写真を撮る。確かにお店は営業しているのだが、なんだか歯抜け感が拭えない。サンクス平尾あたりと異なり、道がそれほど大きくないこともあいまって余計にその哀愁が漂ってしまう。人口減少数全国ワースト6位という京阪神圏らしくない不名誉な記録を持つこの兵庫県だが、そのひずみはこんなところにも表れているのかもしれない。
県道18号線の広い横断歩道を渡り、さらに先に進んでいく。一見別の商店街に見えてしまうこの広い横断歩道だが、同じ「寺家町商店街」である。
しかし非常に残念なことに、こちら側に関しては先ほどよりもさらに残念な景色が広がっていた。JR加古川駅から遠いこと、川や幹線道路に挟まれ商圏が狭いこと、ニッケパークタウンがすぐ隣にあることなど、様々な要因が重なりこのような状況となってしまっているようだ。しかし本当に寂しい。
しかしこちらのエリアは相当苦しそうだ。このような状況になっているがゆえに昭和らしい光景を随所で見ることができるという怪我の功名もあるのだが、それでもやはり残念な気持ちになってしまう。
そしていかにも古そうな家も、この寺家町商店街には健在。良いんだか悪いんだか・・・。
そんな寺家町商店街の再生の武器として使われた「蚤の市」。ブログやSNS等を利用した宣伝により毎回700~800人ものお客さんが来るようになった一大イベントだが、現在は某ウイルスの影響で中止となってしまっている。一体いつになったら復活できるのでしょうか。商店街全体が苦しい状況であるだけに、このイベントの復活が待たれます。