大阪市此花区を東西に走るJRゆめ咲線。その沿線にはかのユニバーサル・スタジオ・ジャパンがあり、日にちを問わず多くの人々で賑わいを見せている。それに加え、工場も多く立地しており、住宅はあまりないかと思いきや、USJ周辺には数多くの高層マンションが立ち並ぶなど、その様相は多種多様に及ぶ。
そんなJRゆめ咲線の沿線の中でも西九条~安治川口間には驚くほどの下町が姿を見せており、数多くの住民が暮らしている。その中でも最大規模の商店街が「春日出商店街」という商店街で、全盛期と比べると大きく人を減らしているものの、現在も立派なアーケードが立地している。今回は、そんな春日出商店街について、その様子を見ていくこととする。
陸の孤島?「春日出商店街」
春日出商店街は、大阪市此花区に位置する商店街。250mほどの商店街内に店舗が並び、近隣にスーパーのない春日出地区の住民にとって貴重な商業施設となっている。一応最寄りは阪神電車の千鳥橋駅(JRゆめ咲線は近隣に駅がない)だが、そこから歩いて10分少々かかるため、バスの利用が推奨されている(西九条駅から毎時4~5本運行)。なお、春日出商店街の南側には「朝日商店会」という商店街も立地しており、買い回りができる状態となっている。
「春日出」という名称の由来は、此花区の公式サイトによると
当地の開発者である雑賀屋七兵衛の春日大神信仰に由来する。伝えるところによると、新田開発当初、当所において鹿が殺されるのを目撃した七兵衛が、その鹿を春日神の使いとして丘を築いて土中に手厚く葬ったという。鹿が出現したこと、即ち、春日神の使者が出現した地を意味する。
と書かれている。すなわち、奈良の春日大社の鹿がここまで降りてきたというわけだ。奈良から大阪の此花区って相当距離ありますけど・・・
商店街の中へと入っていこう。いかにも昭和風のアーケードがお出迎え・・・と思いきや、なんとこちらは1996(平成8)年に新築されたものだという。とはいえ、アーケードそのものは昭和の頃から存在したというから、その歴史の長さが感じられる。
元々大企業の社宅が多く立ち並び、戦前から大きな賑わいを見せたというこの春日出商店街。しかし、その現状には厳しいものがあるようで、近年まで残っていた市場・スーパー(朝日市場・食品館アサヒ)も完全閉店、現在はその後継としてドラッグストアが開業したが、入口がアーケードの外側に向いているなど、商店街を軽視している印象が拭えない。
商店街の中を進んでいく。かつては大きな賑わいを見せたというこの春日出商店街だが、今やアーケード内もシャッターが並び、寂しさあふれる景色が広がっている。相当年季の入っていると思われる建物も多くあり、厳しい状況にあることを感じさせる。商店街が抱える問題はどこも似たようなものなんですね。
なお、アーケード内のみが商店街かと思われがちだが、実際はアーケードを抜けた北側のエリアも少しだけではあるが商店街が続いている。同じ商店街とは思えないが、れっきとした春日出商店街の一部分です。
「かすがで しょっぴんぐ すとりーと」という看板が今も残る春日出商店街。場所も良くないだけになかなか厳しいものがあるかもしれませんね・・・。
商店街内のビリケンさん、撤去・・・
(上記2枚は大阪市公式サイトより抜粋)
春日出商店街には、以前までビリケンさんがアーケード内に鎮座していた。このビリケンさんは、ハワイの州知事が書芸家の笠原天籟氏に贈られたものを春日出商店街に寄贈してくれたものなのだそうで、「関西みらい銀行 春日出プラザ」の一角に設置されていた。
ところが、当の関西みらい銀行が2020年12月4日をもって営業を終了。建物が解体されたことにより、その中に設置されていたビリケンさんも姿を消してしまった。ビリケンさんは商売繁盛の神様と言われているだけに、今後の春日出商店街が心配になってしまう取材班でした。