神戸市東灘区に位置する人口島・六甲アイランド。ポートアイランドの成功を受けて多数の商業施設が進出したこの六甲アイランドだが、アクセスの悪さや島内の人口の少なさもあいまって近年では厳しい状況下にある場所も多いようだ。
そんな六甲アイランド内で最大の商業施設がこちら、「神戸ファッションプラザRink」である。地上10階建て・映画館やスーパー、ファッション・インテリアなど多数の店舗が並ぶ施設だったようだが、開業から時間を経た結果現在では非常に厳しい状況下にあるようだ。今回は、そんな六甲アイランド内最大のショッピングモール「神戸ファッションプラザ」について、付随する様々な施設とともに見ていくとしよう。
※神戸ファッションプラザはリニューアルが行われ、「ROKKO i PARK」として再オープンを果たしました。今後新規テナントが多数出店予定。今後が楽しみです!
(なお、当ブログではリニューアル前の様子をお届けする旨、予めご了承下さい。)
円盤が印象的すぎる「神戸ファッションプラザ」
神戸ファッションプラザは、神戸市東灘区・六甲アイランド内に位置する複合商業施設。ショッピングモール「Rink」、美術館「神戸ファッション美術館」「神戸ゆかりの美術館」、UFO型のイベント空間「オルビスホール」、宿泊施設「ホテルプラザ神戸」の5つの施設から構成されており、これらが合わさった大型施設を構成させている。開業は1997年と、六甲アイランド内ではやや遅め。阪神・淡路大震災後の開業となっている。
なお、近隣に「神戸ファッションマート」という建物があるが、こちらとは全く関係のない施設なので要注意だ。
このUFO型のイベント空間「オルビスホール」がなかなか特徴的で、施設全体になかなか印象の強いアクセントを加えさせてくれている。なお利用状況がよろしくないのか、2022年7月には神戸市在住・在学の人限定で「平日の利用料無料」というなかなか大がかりなキャンペーンを行っていたりもする模様。神戸ファッションマートも「21日以上借りると賃料約90%引き」なんてやってたし、相当苦しい状況にあるんでしょうね。
そんな様々な施設が入っている神戸ファッションプラザ、その中で最大の面積を占めるショッピングモール「Rink」の様子はどうなっているのか、ここからはその中の様子を見ていくとしよう。
六甲アイランド内最大の商業施設でしたが・・・
神戸ファッションプラザの概要について見てきたところで、その中身を見ていくとしよう。施設は六甲ライナー・アイランドセンター駅から直結しており、その道中には多数のポスターが貼られている。良い雰囲気ですね。
さっそくフロアガイドを見ていこう。2022年訪問時のフロアガイドはこんな感じ・・・って、あれ、何もない。「ワクチン接種会場 ファッションプラザ9階」というポスターが横に貼られているが、肝心のフロアガイドの場所には何もないというなかなかの状況。これはどういうことなのだろうか。
というのもそれもそのはずで、この神戸ファッションプラザRinkの商業施設街、なんと全ての商業フロアが閉鎖中というなかなか凄い状況になってしまっているというのだ。開業当初は映画館を含む85以上の店舗が展開していたというこの神戸ファッションプラザRinkだが、閉店が相次いでしまい、結果全てのテナントが撤退するという末恐ろしい状況になってしまったのだとか。
なお、昔は以下のようなフロア構成をしていた模様(コチラより抜粋)。
フロア | テナント | 閉店時期 |
1F | 食料品のフロア | 2018年7月 |
2F | ワイン・ドラッグ・書籍・文具のフロア | 2018年7月 |
3F | レディースファッションのフロア | 2015年 |
4F | カジュアルファッションと雑貨のフロア | 2012年 |
5F | リビングファッションと雑貨のフロア | 2012年 |
6F | キッズファッションとアミューズメントのフロア | 2012年 |
7F | 家族アウトレットのフロア | 2011年 |
8F | レストランのフロア | 2012年 |
9F | シネマのフロア | 2011年 |
なおこの影響からか、フロアガイドのすぐ横に掲載されていたレストラン街の案内に関しても中身が空白になったまま放置されていた。テナントがないのだから当たり前といえば当たり前なのだが、あまりに悲しすぎる。
この厳しすぎる状況のせいか、末期には様々な問題が生じていたようで、コチラの記事内では
お客様各位
当店の大家様(商業棟所有者)の管理業者様への契約不履行により、現在商業棟内のエレベーター・エスカレーターが停止しております。当店としましては、運転再開を大家様へ要請しております。お客様にはご不便をお掛けいたしますが、ご理解いただけますようお願いいたします。
という衝撃的な貼り紙があったという。まだテナントが入っていたというのにこれって・・・ 新神戸の某施設もビックリですね(苦笑)
神戸市側も現在の神戸ファッションプラザの状況に危機感を持っているようで、2022年2月に「六甲アイランド神戸ファッションプラザのリニューアル、足湯施設の設置に着手します」という資料を公表。神戸ファッションプラザにおいては
1.ふわふわドーム(子供向け大型遊具)・ベンチの設置床面の人工芝化・一部タイル改修など
2.スペイン階段:スペインタイルによる美装化・ベンチの設置など
が行われることとなった。
また、2024年春には兵庫県太子町に本社を持つスーパー「ヤマダストアー」が出店するほか、バンダイナムコアミューズメントによるスポーツエンターテイメント施設の開業が決定。テナントのほとんど入っていない施設としての期間が長かった神戸ファッションプラザRinkにも、ようやく追い風が吹き始めている。
【追記】2024年3月、「ROKKO i PARK」としてリニューアルオープンしました。
実際、神戸市によるリニューアル施策は少しずつ効果が出始めてきているようで、実際2022年に取材班が訪問した際も、たくさんの子供とその保護者がおり、確かに賑わいを見せていた。とはいえ、同じ施設内にホテルや美術館があるにも関わらずこんな施設を作って良いのだろうか、とも感じてしまいますが。
また、スペイン階段は上のように整備されていた。茶色く彩られた階段が非常に美しいが、いかんせん人通りがなさすぎてその魅力がうまく活かされていない気がする。
なおこの神戸ファッションプラザRinkが商業施設として再開されるかどうかという点についてだが、一部が再開する可能性はあれど、前と全く同じ形で再開されることはないと断言できる。というのも、以前商業施設が入っていた区画のうち、6・7Fに関して、オフィスが入居してしまっているという事情が挙げられる。経営的に苦しいのは事実だろうが、今も商業施設の名残が色濃くあるだけにちょっと残念ですね・・・。
「リンクで始まる、わたしの時間。」この絵の中で描かれた人々は、今の様子をどう見ているのでしょうか・・・。