兵庫県神戸市にある「神戸ハーバーランド」は、神戸ポートタワーやメリケンパークといった神戸を代表する観光地のすぐとなりにあるエリアとなっており、多くの商業施設が入るumieやモザイクなどといった、神戸らしいおしゃれさ・キラキラさがよく出ているところとして、今も地元住民のみならず全国からキラキラカップルが訪れる場所として有名だ。実際行ってみるとわかると思うが、メリケンパークからモザイクにかけた海沿いのエリアには、京都の鴨川ほどではないものの、男女カップルが肩を並べて座るのを見ることができる。
(写真はWikipediaより抜粋)
「株式会社神戸市」の成功事例としてよく知られている「ポートアイランド」と同時に開発の進んだこのエリアだが、街としては成功しているものの、商業面から見てみるとアヤシイ部分も多くあるのがこの神戸ハーバーランドという場所の現実だ。今回は、そんな神戸ハーバーランドの失敗事例、「神戸ハーバーセンター」について解説していこうと思う。
<株式会社神戸市について、詳しくはコチラ>
競合を受けすぎるハーバーセンター
神戸ハーバーセンターは、オープン当初から周りの施設から大きな影響を受けてきた。近くにはイオンが運営する神戸ハーバーランドumieやモザイク、イオンモール神戸南、温泉の万葉倶楽部を構えるプロメナ神戸、そして神戸最大の繁華街、三宮だってある。正直、この中で商業施設として運営していくこと自体難しい気もするのだが、それについては今回は置いておくとしよう。
さて、そんな状況下にある神戸ハーバーセンターだが、こんな状況にあることからも分かる通り、店舗・運営会社の入れ替わりが特に激しいという大きな特徴を持っている。下は、神戸ハーバーセンターの運営会社の入れ替わりを示したものだ。
- 1992年9月~1994年12月 西武百貨店
- 1996年4月~2004年3月 神戸ハーバーサーカス
- 2004年12月~2007年3月 ビーズキス
- 2008年4月~2010年3月 ファミリオ
- 2014年7月~ ハーバーセンター
これを見ればわかるように、実際に営業実績のある企業だけを列挙してみても4回も経営母体が変わっている。実際はこれ以外にも運営をやろうとしていた企業があることを考えると、完成して30年も経っていない商業施設とは思えない動きをしていることが容易に想像できるだろう。そんな紆余曲折あった神戸ハーバーセンターが今どうなっているのか、ここからはその詳細に移っていこう。
ハーバーセンターの今
さて、ハーバーセンターの歴史について振り返ったところで、その詳細に入っていくとしよう。神戸ハーバーセンターの商業棟は、地下2階(駐車場を入れると地下3階)から地上5階までの7層構造となっている。左下の階段状の建物が商業棟なのだが、なかなか変わった構造をしていることがわかるだろう。既にバブルの雰囲気がプンプン出ているんですが、大丈夫ですかね・・・
しかし現在においても、ハーバーセンターの本領が発揮されているとは言い難い。実際に商業施設が営業しているのは地下2階~地上3階のみ、しかも商業棟と名売っているにも関わらず教育委員会が入居する始末。神戸市といえば、教員間でのいじめが以前大きな問題になったが、こんなところに教育委員会を持ってて大丈夫なんですかね。市役所、こっから歩くにはだいぶ遠いところにありますけど・・・。
そして、もともと百貨店だったこともあってか、非常にキレイな状態に保たれているハーバーセンターだが、そこに入居している店舗は極めて庶民的だ。貧乏人ご用達・業務スーパーに、そしてその運営元の子会社・ワールドビュッフェもちゃんと営業中。女性のランチなら平日1,100円、男性の土日ディナーでも1,925円、しかもドリンクバー付き。腹いっぱい食べたいならここに行くべし!!
そしてこちらも貧乏人ご用達(こちらはみんな使うか)・西松屋。西松屋も業務スーパーも兵庫県発祥なのがおもしろい。しかし、30年前はここに「SEIBU」の美しい看板が出ていたのかと考えると非常に寂しいと言わざるを得ない。それにしても、緊急事態宣言が出ているにも関わらず、子供たちはワーワーキャーキャー騒ぎますね・・・。元気でよろしい(笑)
エレベーターに乗ってみたところ、なぜか店舗の営業していない5階に来てしまった。偶然なのかなんなのか分からないが、どうやら店舗の営業をしていない今でも行くこと自体はできるようだ。普通なら行かないけどね、こんなところ。
とはいえ、エレベーターを出ると目の前には「立入禁止」の看板。もちろん、入ってませんよ(笑)ダメなものはちゃんと守る、でもしっかり取材する、それがこべかつ!の信念です。今後ともよろしくお願いいたします。
現在は「神戸市青少年会館」がテナントとして入っており、中に入ることが出来ます。
そして驚くことに、5階のエレベーター前には、前身の「ファミリア」時代のフロアガイドが残っていた。ファミリアが閉店して10年以上経つにも関わらず、いまだに残っているのはもはや奇跡といって良いだろう。しかし、このフロアガイドですら、3-5Fのところには白いテープが隠されている。テナントが埋まらないのはずっと変わらないのだ、そう感じる一幕である。
※更新されました(2022年5月11日確認済)
ところで、地下1階に「スペースシアター」なる奇妙なテナントについて、気になった方がいらっしゃったのではなかろうか。こんなビミョーな施設にも、ちゃんと映画館があったのか、と筆者は少し感心してしまった。のだが、どこを見てもそれらしきシアターが見当たらないのだ。どこに行った、シアターよ。
10分ほど探し回ったあげく、ようやく発見することができたのだが、それがこれだ。
いや、これはテナントに入れちゃダメでしょ。ただのホールやん。
まとめ 鬼門、生き返るか
今回は、神戸ハーバーセンターについて、その経緯と今についてご紹介した。神戸ハーバーセンターは、開業してから30年ほどと、それほど古い施設ではないのにも関わらず、これまでに4回経営母体が変わるなど、様々な問題が背後にあった。しかしその中で、どうやってその地位を維持し、向上し続けていくのか。神戸ハーバーセンターの、実力が問われている。