「おしゃれ」という印象ばかりが先行する街・神戸。
しかし、その神戸市とて150万人の人口を抱える都市であり、全てのエリアがおしゃれであるわけがなく、神戸市中心部・中央区の周辺に位置する兵庫区や長田区、灘区といったエリアには下町庶民文化がさぞ当たり前であるかのように転がっている。実際、神戸市公式移住ポータルサイト、KOBE addressでは「下町情緒エリア」という名前で「湊川・新開地周辺エリア」「新長田周辺エリア」の2つが取り上げられている。
今回はそのうちの一つ、「湊川エリア」についてご紹介しようと思う。
<新開地エリアについてはこちら>
やる気のない神戸電鉄
湊川エリアの中心地となるのは、神戸電鉄の湊川駅、神戸市営地下鉄西神・山手線の湊川公園駅である。この2駅は名前こそ違うものの、駅としては一体となって運営されており、もともと神戸電鉄のターミナル駅となっていたこともあって、神戸高速鉄道の途中駅となった現在でも、それなりの体裁を保っている・・・のかと思いきや、意外とそうでもないのが現状だ。
神戸電鉄湊川駅の改札を出て地上に上がると、まず最初に見えてくるのが「神鉄観光」なる、神戸電鉄の子会社が運営する旅行代理店だ。このエリアには、個人経営と思われる居酒屋がひしめいており、いかにもアングラな雰囲気が既に出ている。もはや下町というより「裏側」とでもいったほうが良いのかもしれない。それにしても、JALの看板古すぎだろ・・・。
再開発ビルと商店街が共存する街並み
しかし、それだけで終わらないのが湊川のすごいところ。神戸電鉄のおかげで昭和一辺倒の街並みになっているかと思いきや、「湊川パークタウン」なるシャレオツな建物だってちゃんとある。おしゃれタウン(笑)・神戸、そして阪神淡路大震災の影響は、こんなところにまで出てしまっている。
湊川パークタウンの最大の特徴は、なんといっても公園の下にショッピングセンターを作ってしまったという点に尽きるだろう。公園が3階にあるという時点で既に驚きなのだが、これは天井川の跡地に公園を作ったという事情があるかららしい。それにしても、昔の人間はどうすればこういう発想が出てきてしまうのか、驚くばかりである。
そんな事情もあってか、公園の中には上の写真のように「地下鉄 パークタウン入口」と書かれた入口が随所に存在する。まぁ、ここから地下鉄に行こうとしたら4フロア分降りなければいけない訳ですが。階段を降りた先は2階だからね。
そして、先ほどあげた湊川パークタウンのすぐ近くに位置する「ハートフルみなとがわ」も同じようなビルとなっている。こちらは阪神淡路大震災の後、もともと市場だったところを使って建て直されたという経緯もある関係か、吹き抜けが非常に多く、まるでどこかのイ〇ンと勘違いするほどキレイだ。
とはいっても、あくまでそこは再開発ビル。もともと土地を持っていた地権者が多数入居しており、元々市場だった関係もあって肉屋や魚屋といった、おおよそ再開発ビルらしくない光景が広がっていたりする。そしてその肉屋でコロッケを買い求める高校生たち・・・ イ〇ンじゃ絶対見られない光景の誕生だ。自由な街やなぁ。
しかし、たとえそのような再開発ビルの1つや2つがあったところで、それらはメインではない。あくまでメインは商店街なのだ。様々なお店が立ち並び、人がそこで買い物をする。そんないかにもな空間がそこには広がっていた。たとえ「オシャレタウン」と呼ばれる神戸市であっても、その本質は変わらないのだ。そんなことを感じる「日常」が、ここ湊川にはあった・・・