兵庫県西宮市ほど、阪急・JR・阪神の「差」が現れる街はないだろう。JR沿線まで高級住宅街が広がる芦屋市、阪急沿線にもどことなく庶民的な雰囲気が流れる尼崎市とは異なり、阪急西宮北口駅周辺には凄まじいほどの高級住宅地が広がる一方、阪神西宮周辺にはいかにも庶民的な景色が多く広がっており、まるで同じ市には見えない。なお山側にはこれまた西宮らしくないニュータウンが広がってたりするのだが、これはまた別の話。
さて、今回はそんな西宮の中でも庶民的なエリアに位置する「阪神西宮」にやってきた。エビスタ西宮なる施設のせいで非常にキレイな雰囲気になったこの阪神西宮だが、駅前を見る限りその状況は相変わらずのようだ。
そんな西宮駅の隣に、かつて「西宮東口」なる駅があったのをご存じだろうか。今津~西宮間にかつて存在した阪神本線のこの駅は、本線開通と同時期、1905年に開業し、阪神電車の高架化・2001年に廃止となっている。
そしてこの西宮東口駅は、かつてJR西宮駅との乗り換えの玄関口として機能した経緯があり、今もその跡が駅と駅とを結ぶ商店街という形で残っているのだという。今回は、そんなJR西宮駅と旧阪神西宮東口駅とを結んでいた商店街、「西宮東口商店街」について、その現況をお届けしていく。
商店街は…どこ…? 西宮東口商店街
西宮東口商店街は、先ほども書いた通りJR西宮駅と阪神西宮東口駅との間に位置する商店街だ。両駅間の距離500mほどの間を結んでおり、今でこそ西宮東口駅は廃止となったものの、今も商店街としてその姿を残している
商店街の中へと入っていこう。いかにも商店街らしい街灯やアーチといったものはないが、道路が赤く塗られており、ここが西宮東口商店街であるということをすぐに区別できるようになっている。
かつてはこのようなゲートが設置されていたようです。
(商店街の風景様より)
西宮東口商店街の中には個性的なお店がちょこちょこと軒を連ねており、やはりここが商店街であるということを感じさせる光景を見ることができる。非常に見ていて面白い。
それ以外にも、わずかではあるが昔からある商店街らしい光景が残っており、その歴史の長さを感じることもできる。
とはいえ、もう阪神の駅が無くなってから20年以上も経過している。それもあってか、先ほどの「いかにも商店街らしい」景色を見られるのはごくごく僅かで、全体的には普通の住宅街と変わらない景色が広がっている。「商店街はどこだ?」となるのも無理もない。かつてはJRと阪神との乗り換え客で大変なにぎわいを見せていたというが、それももう過去の話となってしまっている。
商店街内に設置されている地図を見つめる。そりゃ分からんって。地図をみてもお店がぎゅうぎゅう詰められておらず、全体的に空白の目立つ配置となってしまっている。
とはいえ、あくまでここは駅前。駅と駅との間を結んでいるというその特徴もあってか、地元の方を中心に人通りは今もそれなりにはある模様。しかし阪神やJRの駅前に大型商業施設が出来てしまった今、その復活は厳しいものがありそうだ。