日本全国の政令指定都市の中で最も人口密度の高い街「大阪市城東区」は、データでその人口密集っぷりが裏付けられていることもあってか、Googleマップで見てみるだけで恐ろしいほど家々が詰め込まれていたりマンション群がズラズラと並んでいたりするところをすぐに観察することができ、やはり人口密度2万人/㎢はダテじゃないことをすぐに実感させられる。東京一極集中・大阪の地盤沈下が叫ばれて久しいが、やはり大阪は日本第二の都市圏の中心地なのだ。過密になることが誇らしいのかどうかは別問題ですが。
今回訪れたのは大阪市城東区の中でも「関目」と呼ばれるエリアだ。このエリアには京阪電車・関目駅の他、地下鉄谷町線の「関目高殿」駅や地下鉄今里筋線の「関目成育」駅が立地しており、梅田や天王寺、京橋なんかに1本でアクセスできることからすこぶる交通の便の良いエリアとなっている。これだけ聞くといかにも賑わっていそうなイメージを浮かべてしまうだろうが、国道1号線が通っているのも大きいのだろう、意外にも周辺にはロードサイド店舗が立ち並び、なんだか大阪市というよりも郊外のベッドタウンのような様相だ。ちなみにWikipediaによると関目地区だけで人口2万人を超えるとのこと。0.8㎢そこそこの土地に2万人って・・・いかにも城東区らしい光景である。
さて、前置きが長くなってしまったが本題に移っていこう。今回訪問するのは、京阪電車の関目駅前にある「関目商店街」と呼ばれる場所だ。関目というエリアは、かつて当サイトでお届けした「千林商店街」のある千林エリアと「城東商店街」のある蒲生四丁目エリアに挟まれた場所に位置しており、どちらもそこそこにぎわいを見せている(特に千林商店街は「大阪三大商店街」と言われるだけあって非常に賑わっている)。そしてその狭間にある、この関目商店街は果たしてどうなっているのか。今回は、そんな「関目商店街」の様子についてお届けしようと思う。
懐かしさよりも古さが目立つ街並み
さて、前置きが長くなってしまったが本題に移っていこう。関目商店街は、京阪関目駅の東改札口を出た先、上の写真の道を進んでいった先に所在している。駅前ではあるものの、一目で商店街があるとは思えない場所にあるため、少し要注意だ。
なお、今里筋線関目成育駅からは1番出口を出てからの連絡が便利で、地上に出ると京阪関目駅の西改札口が目の前に現れるため、そこから東西連絡通路を通ることで到達することができる。また、谷町線関目高殿駅からは・・・少々離れている(歩いて5分ほどかかる)ため、利用はおすすめしない。一応言っておくと、2番出口を出たのち、国道1号線を南に進む。すると京阪関目駅の西改札口が見えてくるため、そこから東西連絡通路を通るといった具合だ。いずれにせよ、やや距離があるため訪問の際はお気を付けいただきたい。
駅前のカーブを曲がると、いよいよアーケードの入口が見えてくる。京阪関目駅は普通しか止まらない小駅だが、その割には商店街としての体裁がかなり整えられており、さすが大阪市であるということを感じる。
・・・なんだか闇の深い看板がお店の軒先に掲示されていますが、とりあえず先へと進んでいきましょう。
アーケード内はこんな感じ。いかにも昔ながらの商店街といった様相だ。アーケードが切れていることが写真を見ても分かる通り、この商店街のアーケード部分はわずか140メートルとのこと。良く言えば「下町情緒あふれる、風情のある商店街」、悪く言えば「古臭い、時代遅れとなってしまった商店街」といったところだろうか。お世辞にもお店が並び活気があるとは言えない状況になってしまっている。しかし、それでもアーケードが存続しているだけ立派であろう。関東じゃとっくのとうに壊されていても全然おかしくない。
アーケードの中を見ていこう。アーケードの中には「じゃんぼ酒場」のような大阪では有名なチェーン店やリノベーションして非常にキレイな外観を誇る店舗、そしてそれとは反対に令和になった今でもまるでどこかの闇市のように経営を続ける、趣のある居酒屋など、実に多種多様な店舗が軒を連ねていた。このゴチャゴチャとした感じがいかにも商店街らしい。
そしてこの写真だと分かりにくいが、それらの居酒屋にはまだ昼間だというのに多くのお客さんが入っており、お酒を飲みながら談笑する姿が見られた(注:4/24(緊急事態宣言前)に取材しています)。コロナコロナと言っている今の世の中だが、結局人が求めているのは変わらないのだ。
それにしても、上に書いてある「本」という赤い文字は何を表しているのだろうか。かつては本でも扱っていたのだろうか。その割にはこの居酒屋たちも結構年季が入っていそうだし・・・ 一体何なんでしょうか。よく分からない。
商店街の端には、大阪の地場スーパー「アフロ」さんが軒を構えていた。どうやら商店街で一番賑わいを見せているのがこちらの店舗にあたるようで、軒先には多くの自転車が止められていた。ここにいる人々が商店街に流れればなぁ・・・といった具合ですが、厳しいんでしょうね。ちなみにお値段は普通のスーパーといった感じでした。特にコメントできない(´・ω・`)
そしてそのスーパーの向かいには「喫茶クラウン」という、いかにも重厚な雰囲気を持つ喫茶店が鎮座していた。明らかに良い感じの雰囲気を保っており、ぜひ一度訪問して見たかったのだが、調べたところなんと2021年4月をもって閉店してしまったとのこと。残念無念。なお調べてみたところ、こちらのサイトに訪問レポートがあったため、気になった方はご覧になってみてほしい。
アーケードの終点にやってきた。入口から終点までまっすぐ歩き続けたら、なんと2分ほどで着いてしまった。140メートルしかないので当たり前といえば当たり前なのだが、あまりに近すぎてちょっとびっくりしてしまった。こんなアーケードがあるかと思えば、全長2キロメートルを超える超長いアーケード商店街も大阪にあるというから、本当に面白くてしょうがない。やっぱりこの辺が大阪の良さだと感じる取材班でした。(あ、まだ続きがありますよ!笑)
しかし、ここのアーケード、ボロボロじゃないか・・・。ここまで来てしまうと、アーケードの改修、もしくは撤去が急務なのだろうが、もうここもお金がないんだろうな。商店街の衰退が全国で問題になっているが、こんなところにもその影響が現れるとは少々意外だった。
住宅街?いえいえ、商店街でっせ
さて、アーケードを抜けた先へと進んでいこう。明らかに住宅街にしか見えないこの先の風景だが、写真に「関目商店街」と書かれた街灯が写りこんでいる通り、ここも関目商店街の一部である。
近くで見るとこんな感じ。白い枠に赤色で「関目商店街」と書いてあるのが、アーケードの入口にある「関目商店街」の文字と全く同じ構成になっており、粋だと感じてしまう。偶然ならごめんなさい・・・
しかし一応「商店街」と書かれてはいるものの、このエリアに位置するお店はというとドラッグストアに保育園と病院、それ以外にわずかに1軒店舗があるのみで、大半のエリアはマンションが建ち並ぶ実質的な住宅街状態となってしまっている。そしてその割には立派なマンションが何頭もズラズラと並んでおり、旺盛な住宅需要と少ない商業需要、そしてその狭間にある商店街という形で、一種のミスマッチを感じてしまう。難しい問題ですよね・・・。
しかしこれで終わらせるのはまだ早い。というのも、先ほど書いた「1軒の店舗」が非常に面白いお店であるからだ。そして、こちらがその唯一のお店、「駄菓子の扇屋」さんだ。一見普通の駄菓子屋さんに見えるこちらのお店だが、何とこちらのお店、店内になぜかビールサーバーが設置されている。
こちらがその証拠の写真だ。少々見にくいが、手前に駄菓子、そしてその奥にビールサーバーが設置されている。
なぜこんなことが起きているのだろうか。その理由として、実はこのお店、駄菓子屋として営業するだけでなく、18時から駄菓子バーとして営業しているというのだ。駄菓子を出したりメインにするバーは知られているが、本来子供向けのお店であるはずの駄菓子屋がバーに変身するというのは非常に珍しい。なんでも、チャージ料500円で店内の駄菓子が食べ放題になるのだそうだ。
子どもたちの夢の国、そこは大人にとっても別の意味で「夢の国」でした。