泉北ニュータウンにおける近隣センターの第3回目にあたるこの記事。第1回にて泉北ニュータウンにおける近隣センターの概要と歴史、そしてそれを取り巻く現状について特集し、第2回にて泉ヶ丘地区における近隣センターの現状を写真とともに取り上げた。
そして第3回となる今回の記事では、栂・美木多地区(「栂地区」とも。本記事では「栂・美木多地区」で統一)における4つの近隣センターの現状について取り上げることとする。泉北ニュータウンの最初期に開発の行われた泉ヶ丘地区、末期に開発が行われた光明池地区に挟まれ、ある意味「最も取り上げられない」地域であるともいえるこの栂・美木多地区。その栂・美木多地区にて、今どのようなことが起きているのか、本記事では写真とともに取り上げていくこととする。
<光明池地区はコチラ>
桃山台
名称:桃山台近隣センター
開業時期:1972(昭和47)年8月
核店舗:なし(スーパー撤退済)
栂・美木多地区で最初に開業した近隣センター。とはいえ開業時期は1972年の8月と、泉ヶ丘地区のどの近隣センターよりも新しい(泉ヶ丘地区で最後の近隣センターは1972年4月の開業)。当地区では唯一の泉北高速鉄道の線路よりも北側にある近隣センターとなっており、そのおかげか割と最近までスーパーのある近隣センターだったのだが、2020年4月にあえなく閉店、現在は核店舗のない近隣センターとなっている。一応その代替として「ファーム桃山」なる地場野菜を売るお店がオープンしているが、完全な代替には至っていない模様だ。
訪問時点(2022年7月)で閉鎖からまだ2年ほどと、それほど時間の経過していないこのスーパーQAだが、その老朽化にはなかなか凄まじいものがあるようで、壁面はボロボロ、中の資材もかなりの部分が放置中と、全体的に残念な風景の広がる場所だった。何だか閉店というより夜逃げのように見えてしまうのですが、さすがに気のせいでしょう。
また、スーパー以外の店舗に関してもこれまたシャッターを閉めているお店が圧倒的に多く、哀愁溢れる光景が全体に広がっていた。寂しいを超えてもはや残念な気持ちしか抱けないのですが、もう少しどうにかならなかったのでしょうか。それなりに駐車場もあるような場所ですし・・・。
原山台
名称:原山台近隣センター
開業時期:1972(昭和47)年12月
核店舗:なし(近隣センターそのものが解体済、)
泉北高速鉄道栂・美木多駅南側、駅からもほど近い場所にある近隣センター。古くから核店舗のない近隣センターとなっており、早い時期から衰退の傾向が見られているのだが、なんと2022年に地域会館を残して全ての土地が取り壊され、更地に。現在は商業機能の全くない近隣センター(と言えるかどうかも怪しい)となってしまっている。
なお跡地には長谷工コーポレーションによるマンションが建設される予定で、目下工事が進行中とのこと。今後どうなるのかが気になります。
なお、開業当時の原山台近隣センターはこんな感じだった模様。いかにも「ちょっとおしゃれな郊外の商業施設」のような感じでなかなかセンスがあると思うのだが、まあ老朽化もしていたのだろうし、閉鎖時はこうはなってなかったんだろうなあ。
庭代台
名称:庭代台近隣センター
開業時期:1974(昭和49)年8月
核店舗:なし(撤退済)
栂・美木多地区の中央やや南側、庭代台地区にある近隣センター。1974年の開業時より、スーパーの「ライフ」が営業を続けており、近隣センターの中では比較的客足のあるエリアではあったものの、2020年2月末をもって閉店、現在は客足の少ない寂しさあふれる近隣センターが出来上がってしまっているのが現状だ。
今月末で閉店するライフ庭代台店 pic.twitter.com/tWwqKptCni
— 安田裕介@FANKS NETWORK (@yatistuta) February 6, 2020
閉店したライフ庭代台店の代替店舗に関しては堺市のホームページでも要望が寄せられているものの、2022年7月現在も核テナントの誘致には至っていない模様だ。いかんせん建物そのものが老朽化していること、それぞれの店舗が繋がっており建て替えには一旦全ての店舗を取り壊す必要があることから、なかなか話が進んでいないのが現状らしい。現在は原山台地区にある「アクロスモール泉北」が庭代台近隣センターまで無料のシャトルバスを運行しており、そちらである程度は需要を賄っているのだが、それも平日の昼間のみ・1時間に1本のみの運行だというから利便性には難ありでしょうね・・・。
それ以外の店舗も上の様に、全体的にガラーンとした光景が広がってしまっているのが現在の状態。自転車に乗っていた地元の方々いわく「意外とどうにかなってる」そうだが、自転車に乗っていたのも大きいのかもしれません。
御池台
名称:御池台近隣センター
開業時期:1979(昭和54)年3月
核店舗:なし(撤退済)
栂・美木多地区最南端にある近隣センター。駅からは約3km離れており、バスを利用しない限りほとんど行くことのできない、いわゆる「陸の孤島」的な場所に立地している。その立地もあってか、かつては「フローリー」や「業務スーパー」、「泉北新鮮村」などのスーパーが入れ替わり立ち替わり営業を続けていたのだが、2021年に建物全体が取り壊され、現在は駐車場と小規模の個人店舗のみが並ぶ近隣センターとなっている。以前はアーケードもあったようだがこちらも現在は撤去済み。
近隣センターの店舗構成は上のような感じ。坂道上に店舗が建っているからか、奥に行けば行くほど段々と建物が高くなっていくその様子が見ているだけで面白い。またテナントに関してはかなりの部分が埋まっており、駅から遠いという一見デメリットにみえる側面をうまく活かしている格好だ。残念ながら核店舗は無くなってしまったものの、これまで寂しさあふれる近隣センターばかりを見てしまっているためある意味うまくやっているとさえ思ってしまう。
なお御池台近隣センターにおいても、庭代台近隣センターと同様に撤退したスーパーの代わりとなるサービスを提供している。しかしこちらはなんと毎週金曜日のみ。あるだけ良いのでしょうが、これじゃあ実用的ではないですよね・・・(苦笑)