大阪市内には実に様々な商店街があるが、実際に様々な商店街を見てみると、その多くが「縦」に商店街を形成していることに気付く。通称「大阪三大商店街」と呼ばれる天神橋筋商店街・千林商店街・駒川商店街のうち千林商店街を除く2つの商店街は縦に商店街が形成されているし、観光客でにぎわう心斎橋筋商店街や戎橋商店街も縦に商店街がつくられている。これはもともと御堂筋や堺筋といった「縦」の繋がりが大阪の発展において重要とされたことに由来するのだが、そこに関しては置いておくとしても、その大阪の街の特筆さには目を見張るものがある。
しかし当たり前のことだが、大阪の「横」の通りが全くもってダメということではなく、東西を結ぶ通りにも数々の商店街が存在している。先日の「池田町中央通り」もそうだし、元々大阪に商店街が多いがゆえの実情なのだろう。でもやっぱり大阪って「縦」が強いよね(笑)
そして、大阪を代表する商店街の一つ「天神橋筋商店街」の近くにも、それを補填するかのように横の流れを作る商店街が残っており、アーケード商店街を形成しているという。今回は、そんな大阪市北区の「横」の流れを作る商店街、「天五中崎通商店街」について、その現状を述べていくとしよう。
4つの商店会に分かれた商店街「天五中崎通商店街」
区別が付きづらすぎる「浪花町商店街」と「黒崎東商店街」
天五中崎通商店街は、その名の通り天神橋5丁目交差点から大阪メトロ谷町線中崎町駅とを結ぶアーケード商店街だ。かつては天神橋5丁目に路面電車が通っていたこと、そしてこれに関連して多くの映画館がこの地に軒を構えていたようだが、路面電車の廃止や地下鉄堺筋線の開業、そして大阪のメインストリートが堺筋から御堂筋へと移っていったことなどにより、現在では主に地元向けのお店が多く入る商店街となっている。
天五中崎通商店街は4つの商店街に分かれており、東側から「浪花町商店街」「黒崎東商店街」「黒崎西商店街」「中崎商店街」という名称がつけられている。あくまで「天五中崎通商店街」という名前はその総称に過ぎない、という訳だ。ちなみにこの天五中崎通商店街には「おいでやす通り」という愛称もついており、どちらかというとこちらの名称の方が多く使われているようだ。
商店街の一番東側、「浪花町商店街」から中へと入っていこう。中は明らかに年代を感じさせるお店が多く残っており、アーケードの古さも合わせてものすごい昭和感がある。落ち着いていて良いですけどね。天神橋筋商店街に隣接する他、その中を通っていくことにより池田町中央通りへと繋がっているあたり、他の商店街とのアクセス面では便利なのだが、いかんせん天神橋筋が近すぎるのが影響しているようだ。
そんなこんな歩いて行くうちに、いつのまにか黒崎東商店街に入っていく。あれ、どこから変わったんだ?なんと、この2つの商店街、違いが全くといって良いほど無いためどこで分かれているのかが本当によくわからないのだ。まあ地元の人は気にしないだろうし、仕方ないといえば仕方ないのかもしれないが。
ちなみに聞いたところによると、この2つの看板の間に浪花町商店街と黒崎東商店街との境があるとのこと。いや、分からんて・・・。
なんか1つだけ押しが強い「黒崎西商店街」
黒崎東商店街を抜けると、続いて「黒崎西商店街」が現れてくる。天五中崎通商店街もここで折り返しだ。ここに関しては「お買物は 黒崎西商店街へ おいでやす」と書かれた看板が商店街の入口にあるのでその存在がわかりやすい(笑)
黒崎西商店街の状況はこのような感じ。先ほどの商店街と比べ、商店街内に多くの看板が設置されており、どこにどのようなお店があるのかが一目でわかるようになっている。
ちなみにこの看板にはちゃっかり「黒崎西商店街」という文字を入れる気合の入れようぶりだ。ものすごい存在感だな(笑)黒崎東商店街と比べてだいぶ気合を入れているように見えるんですが、何なんでしょうかこの違いは・・・。
商店街内にはちゃっかりこんなビルもあったり。かつて映画館が多く並んでいたあたり、昔は色街のようなものがあったのだろうが、この天五中崎通商店街に関してはキレイに一掃され、地元の人が集まる落ち着いた商店街へと変貌している。映画の街からパチンコの街になってしまった新開地とは大きな違いだ。
ちなみに商店街内の広告にはこんな看板が・・・。すいません、ここは本当に令和の賑わう商店街なんでしょうか。ある意味ものすごく貴重な光景ではありますが、梅田のすぐ近くでこんな看板が見事に残っているのを見ると驚きを通り越してもはや声も出ない。
五角形の看板が目印「中崎商店街」
黒崎西商店街を抜けると、最後の商店街「中崎商店街」である。中崎町といえば若者ウケするオシャレなカフェやレストランが並ぶことで有名だが、そんな中崎はどこへやら。味のある商店街がここには広がっている。
中崎商店街では、この五角形の看板が目につく。良い味出してますね。黒崎西商店街の看板も良いが、これもこれで良くできている。
そんな中崎商店街といえば、何と言ってもこの「カレー麺」のお店が有名だろう。このカレー麺なる食べ物、麺にカレー粉を混ぜ込んで提供するという一風変わったものになっており、中崎商店街内の「力餅食堂」というお店で提供されている。力餅食堂というお店は各地にあるが、実際は個々の独立したお店となっており、このカレー麺というメニューは他のお店にはないそうだ。非常に貴重な存在なので良ければどうぞ。
ちなみに記事を書いてて気づいたんですが、ここ、「力餅」なるお店もあるんですね・・・。もしかしたら系列店かもしれません。
中崎商店街の終点(=天五中崎通商店街の終点)には、地下鉄谷町線・中崎町駅へつながる入口が設置されていた。谷町線しか無かった頃はここも天神橋筋商店街とを結ぶ経路の一つだったのだろうが、地下鉄堺筋線やJR東西線が出来た今、この商店街の占める位置も相対的に低下していると言わざるを得ない。しかしそれでも多くのお客さんがいるのだから、これは実に立派なことだ。これからも末永く頑張っていただきたい、そう感じる一日でした。