大阪市北区にある「天神橋筋商店街」は、天神橋1丁目から天神橋7丁目にかけて(実際は8丁目まで続いているが、8丁目は商店街とみなされていない)続く、全長2.6kmにも及ぶ日本一長い商店街だ。「大阪三大商店街」の一角にも数えられる由緒ただしき商店街で、約600ものお店が軒を連ねるほか、学問の神様・菅原道真を祀る「大阪天満宮」や、大阪の歴史を楽しく学ぶことができる「大阪くらしの今昔館」などの施設がある、見どころ満載のスポットだ。
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天神橋筋商店街は、地下鉄谷町線・堺筋線の「南森町駅」、JR東西線の「大阪天満宮駅」から、地下鉄谷町線・堺筋線の「天神橋筋六丁目駅」、さらにその先まで続いている。駅にして、2つ分。これだけでも相当な距離があることがわかるだろう。どちらからでも商店街を回ることができるが、「一丁目から回れる」という点、「歩き疲れる前に大阪天満宮を楽しめる」という点から、南森町側から歩くことを個人的にはオススメする。
ということで、筆者は南森町側から歩くことにした。
南森町駅は、大阪メトロ谷町線と堺筋線の乗換駅(天神橋筋商店街北側の「天神橋筋六丁目駅」も同様だが)となっており、西日本最大の繁華街、梅田からも一駅と、非常に便利な場所に位置している。
南森町駅を出ると、天神橋2丁目と3丁目の間にある、国道1号線が通る交差点に出る。まずはいったん南に向かい、「天神橋1丁目」に出よう。
アーケード商店街をずっと下っていくと、「天神橋1丁目 表参道」と書かれたところに到着する。ここが天神橋筋商店街の南の端となっている。ここをさらに南に行くと大阪天満宮があるのだが、今回はスルー。この先はあまりお店もないため、十分に用意をしてからの訪問をお勧めする。
さて、先ほど天神橋筋商店街は1丁目から7丁目まで続いていると書いたが、実のところ人でにぎわっているのは2丁目から6丁目まで。いくら大阪といえども、2.6kmもの商店街を維持する活力はないようだ。下の写真では人がいるように見えるが、周りのお店があまり営業していないことを見てみると、その現状が分かるだろう。
その代わりというか何なのか分からないが、天神橋1丁目や2丁目のエリアでは、「大阪天満宮 参詣道」ということを積極的にアピールしていた。ただ参詣道がアーケード商店街では、ムードも出ない気がするのだが、そう感じるのは私だけだろうか。
気を取り直して次に進もう。天神橋2丁目から先は、商店街の中でも特に賑わっているエリアとなっている。観光するのであれば、ここを中心に観光するのが賢いと言えよう(もちろん、大阪天満宮に行くのであれば、端から端まで回っても全く問題ない)。
天神橋2丁目のアーケードでは、天神祭で行われる船渡御(ふなとぎょ)で御神霊(ごしんれい)を出迎える「お迎え人形」が飾られている。また、大阪天満宮の表参道を意識しているのか、アーケードの天井に鳥居がぶら下がっている。まるで伏見稲荷のようだ。さすがにこのエリアまで来ると人も多い。
天神橋3丁目、4丁目と進んでいく。天神橋3丁目のアーケードは梅の花。大阪天満宮と梅の花の関係が深いということもあるが、大阪に「梅田」という地名があることとも大きく関係しているだろう。もっとも、梅田は昔「埋田」と呼ばれ、湿地帯だったわけだが。
4丁目のアーケードは「テントウムシ」を模したもの。言われないと気づかないが、こんなところに意外な発見があるので面白い。
このエリアの面白いのは、「大阪らしくない」シャレオツなお店が、普通のお店に同化して存在しているということだ。下の写真のような「西洋茶館」はその一例だろう。ここは神戸かよ、となるようなお店が一部あるので、良かったら探してみてほしい。
そしてこのエリアには、観光客ご用達の「スーパー玉出」もある。このスーパー玉出は北区唯一のお店となっており、新大阪駅や梅田から最も近い場所にあるので利用しやすい。
ちなみにこの「スーパー玉出」だが、もともとパチンコ屋だったところを居抜きでスーパーにしてしまったという経緯があり、他のスーパー玉出と比べてもいろいろと狂ったところがあるので、天神橋筋商店街を訪問した際はぜひ一度行ってみてほしい。
天神橋5丁目から先のエリアでは道幅が狭くなるので要注意。その割にチャリに乗って走ろうとする人がいたりしていろいろとカオスなことになっている。良いのか悪いのか。大阪は腐っても大阪なのだ。
20分ほど歩いたところで、ようやく天神橋6丁目に到着。長かった。アーケード街の終点では、ステンドグラス風の入口が堂々とお出迎え。このエリアは天神橋の中でも最も賑わっているエリアとなっており、通路が狭いのもあいまってとにかく動きづらい。
このエリアには、昔の大阪を実感することができる「大阪くらしの今昔館」や地下鉄の「天神橋筋六丁目駅」などがあるが、個人的には「100円ショップ シルク 天六店」への訪問をおすすめしたい。
「なんだよ、100均なんかどこも一緒だろ」と思うかもしれないが、下の写真を見てほしい。
お分かりいただけただろう。張り紙が異常に多いのだ。関西ローカルではよく取り上げられているこのお店なのだが、意外と観光客には知られていない。店内にもいたるところに張り紙が貼られている変わったお店となっているので、ぜひ一度行ってみてほしい。詳しい訪問記は下からどうぞ。
全体的な感想として、やはり日本最長の商店街は伊達じゃないと感じてしまった。当方、様々な商店街を訪問してきたが、これほど賑わっている商店街を見たのは初めてだ。また、この商店街は「観光客向けに作られていない」というのもとても大きなポイントだ。天神橋4、5丁目のエリアにある、いわゆる「裏天満」と呼ばれるエリアには「安くて美味しいお店が集まっている」と、お金にうるさい関西人から人気を集めるようになってきている。「作られていない、本当の大阪」を楽しめる、それが天神橋筋商店街の大きな特長だ。マスコミや旅行ガイドの固定概念に縛られない大阪を見たいなら、ぜひ一度行ってみてほしい。
ちなみに天神橋筋六丁目の先には「天神橋7丁目」「天神橋8丁目」という地名があり、アーケードこそないもののこれまた別の商店街を形成しているのだが、これはまた別の話。