様々な施設が目を引くこのつかしん。その中で最も目立つのが、館外に設置されているこの「斜行エレベーター」だろう。こちらも開業当初から今に至るまで現役。こちらは当初から西武つかしん店の目玉設備として設けられたものになるのだそうで、開業当初はこのエレベーターに乗るために1時間待ちになっていたのだとか。恐ろしい話だ。
斜行エレベーターを登っていこう。現在は屋上に設置されている「フットサルコート」と地上階とを結ぶ専用のエレベーターとなっており、屋上と地上階のみを行き来することができる。「フットサルコート利用者しか使うことができない」と書いてあるwebサイトもあるが、フットサルコート利用者だけでなく一般の人も利用可能だ。
エレベーターに乗り、上へと昇る。西宮名塩なんかにあるエレベーターと同時期に完成したはずなのだが、中身は古さを隠せない。エアコンも故障しており、夏は暑く冬は寒い。いくら利用者が少なく、維持費もかさむからといってこれは無いだろ・・・。

斜行エレベーターを上がった屋上から下の様子を見る。屋上は「フットサルガーデン」とのみ記載されているものの、実際には展望スペース的な役目も果たしており、美しい景色を見下ろすことができる。つかしんのみならず、その周辺まで幅広く見通すことができるのが本当に素晴らしい。
ちなみに夜の屋上はこんな感じ。23:30まで営業しているので、こんな美しい夜景を見る・撮影することができる。ショッピングセンターとしては色あせた感のあるこのつかしんだが、こんな綺麗な景色が残るあたり、セゾングループの夢の大きさがうかがえる。セゾングループの夢は、それほど大きかった。
意外に庶民的な内部
グンゼタウンセンターつかしんの外側について見たところで、建物の中へと入っていこう。先ほどのドイツの街並みは館内にも継承されており、まるでどこかのアウトレットモールのような風景が館内全体に広がっている。
つかしんの館内を見ていこう。まずは館内中央の広場から。3階部分まで広がる大きな吹き抜けが特徴のこの広場は、現在イベントスペースとして使用。その広さから小規模なテナントが期間限定で出店することもあり、訪問時も多くの人で賑わいを見せていた。
つかしんのフロアガイドはこんな感じ。大きく「にしまち」と「ひがしまち」に分かれているのが特徴で、約200ほどの店舗が入っている。セゾングループという印象ばかりが先行するつかしんだが、中に入っている店舗は意外にも庶民的。これは運営がグンゼへと変わったのち、てこ入れを行った結果なのだそう。これに関しては産経新聞でも特集されている。
この庶民的なテナントには相当なものがあるようで、マクドナルドやコープといった「再開発にありがち」なテナントはもちろんのこと、地元の八百屋のようなお店まで入居してしまっている。とても元セゾングループのテナントとは思えない風景だ。
八百屋の中を覗いてみる。大根は1本216円、枝豆は2袋で216円、ごぼうは1本108円・・・ 段ボールに手書きされている価格表が微笑ましい。これがリニューアル時にわざわざ出店したというのだから、驚き以外の何物でもない。
その他の店舗も見ていくが、やはりチェーン店中心。価格帯的には確かに庶民的ではあるが、所詮ここは尼崎なのだ。
広い施設内をぐるぐると回る。開業から30年以上が経過することもあり、やや古さの見られる部分も残ってはいるものの、全体的には非常に整備されており、美しい景色が広がっている。ただやはり屋外は経年劣化の激しい部分も見られるようで、旧態依然の雰囲気が広がる場所も一部残っている、そんな状況だ。
そんなつかしんの一角には「アウグスブルクコーナー」なる謎のコーナーが・・・。何でもつかしんの街並みの元ネタとなったドイツのアウグスブルク市に関する展示を行っているらしい。
そんなアウグスブルクコーナーだが、その名の通りアウグスブルク市に関する資料がパネル形式で展示されていた。決して広い空間ではないが、充実した空間だ。昔の日本にはこんな展示をする余裕が各所にあった気がするんですが、そんな古き良き時代、戻ってきませんかねえ・・・。