大阪府八尾市といえば、平成30年、大阪府下5番目となる中核市への移行を達成したことが知られており、大阪府下でも人口の多い街として、それなりの地位を確立している。
ところが、人口が多いのと街として栄えているのとは別問題で、八尾市内には突出して栄えている中心市街地が存在せず、なんとも微妙な街並みが続いているのが実情だ。こんなことが起きる理由として、高槻のような交通の要が存在しないこと、そして大阪市に近すぎることが挙げられる。JR久宝寺から天王寺まで快速で1駅でいけるし、近鉄八尾から上本町や鶴橋まで準急で10分も乗れば着いちゃうしね(注:JR八尾駅は普通列車しか止まらないショボショボ駅となっています(´・ω・`))。
今回、取材班はそんな八尾の中心地、「近鉄八尾駅」を訪問してきた。
JRを差し置いて八尾市の中心駅となり、近鉄大阪線沿線でも有数の利用者を誇る八尾駅だが、高架化されて駅舎こそ立派になっているものの、遠近分離が行われているからなのだろうか、普通や準急が止まる程度で、特急や急行は通過という冷遇っぷりを見せつけられている。
(写真2枚目はセブン&アイ社のサイトより抜粋)
そんな近鉄から冷遇されている近鉄八尾駅だが、駅周辺には「リノアス八尾」なるテナントビル(旧西武百貨店)や、大型ショッピングモール「アリオ八尾」、その他パチンコ屋や雑居ビルが多く軒を連ねており、関西では珍しいイトーヨーカドーがあったりするなど、物足りない部分も多くあるとはいえ、決して栄えていないという訳ではない。
しかし、駅から少し離れたところになると話は別だ。今回は、そんな近鉄八尾駅から300mほど離れたところにある商店街、「八尾ファミリーロード」についてご紹介する。
古い町並みとシャッター街化する商店街
まずは、この商店街の街並みを見てもらいたい。
商店街を見回す限り、
シャッター
シャッター
シャッター。
なかには、シャッターのみならず、木の板で入口をふさいでいる店舗すら見受けられてしまった。当たり前のことだが、そこにお店の跡地があるということは、そこでお店があったということを意味するわけで、この状態は「もともとお店が営業していたにも関わらず、今は廃業してしまった」ということを意味する。考えれば当たり前の結論だ。
では、なぜこのようなことがおきてしまったのだろうか。これを聞くと、こう答える人が出てくるだろう。
西武百貨店やアリオ八尾ができて、お客さんが駅に近いそっちに流れた。
この答えは、正解でもあり間違いでもある。確かにそれも要因なのだが、それがすべてではないからだ。そもそも、商店街に来る客層とショッピングモールに来る客層が完全に一致しないことはみなさんもご存じだろう。一般的なセオリーにはなるが、一般にショッピングモールの客層は地元の若いカップルやファミリー層に焦点を当てており、商店街は地元の旧住民に焦点を当てている。すなわち、商店街の客層はショッピングモールよりも高いはずなのだ。
では、いったい何が原因なのだろうか。ここには、主に2つの原因がある。
まず1つ目、駅の移動だ。もともと、なぜこんな駅から離れた場所にアーケード商店街が口を開けているのか。それは、集客のある、駅のすぐ前に位置していたからだ。もともと、近鉄八尾駅はこの商店街のすぐ目の前にあったのだが、1978年に駅の高架化工事が行われたとき、駅舎が元々あった場所から300メートルも右にずれてつくられてしまった。その結果、もともと駅の目の前の目の前にあったのが、いわゆる「裏通り」を何分か歩かないと到着しない場所になってしまい、最終的にこんなゴーストストリート状態となってしまったのだ。
もちろん、旧住民にも配慮はしており、旧駅舎に近い西側にも改札はある。しかし、バスターミナルがある中央改札に比べると小規模であり、「サブ感」が否めない印象だ。実際、電車を降りた客の多くは中央改札に向かってしまい、ガラーンとした雰囲気が漂うことも多い。
そんな良いとはいえない状況にある八尾ファミリーロードだが、こんな場所にもアピールするものはある。「河内音頭」だ。八尾ファミリーロードの入口にあるカフェの近くでは「ようこそ!河内音頭発祥の地へ!」というどでかい看板、そして商店街のスピーカーからは河内音頭の歌がけたたましい音が流れている。商店街がスカスカなのもあってとにかく空虚だ。商店街の全てのエリアで流す余裕はないようで、この写真に写る場所でしか流れていませんでしたが。
とはいえ、こんな場所にもイオンが出店しているというから驚きだ。もともと1~3階のフロアを使って営業していたのだが、現在は1階のみを使って営業している。
そんなところにあるイオン、さてさてどんなものかと見てみたところ、階段横には2013年に消滅したはずの「ジャスコ」の文字が。苦しい現状が透けて見える八尾の一コマでした。